• ホーム
  • lncRNA H19はmiR-200b/cとlet-7bを差次的に吸収することによってEMT/MET可塑性における乳がん細胞の可塑性を仲介する

lncRNA H19はmiR-200b/cとlet-7bを差次的に吸収することによってEMT/MET可塑性における乳がん細胞の可塑性を仲介する

The lncRNA H19 mediates breast cancer cell plasticity during EMT and MET plasticity by differentially sponging miR-200b/c and let-7b

Research Article

Sci. Signal. 13 Jun 2017:
Vol. 10, Issue 483, eaak9557
DOI: 10.1126/scisignal.aak9557

Wu Zhou1,*,†, Xiao-lei Ye2,†, Jun Xu1, Ming-Guo Cao1, Zheng-Yu Fang1, Ling-Yun Li3, Guang-Hui Guan2, Qiong Liu2, Yue-Hui Qian4, and Dong Xie5,*

1 Department of Medicine, College of Medicine and Health, Lishui University, Zhejiang 323000, China.
2 Division of Drugs and Pharmacology, Ningbo Institute of Medical Sciences, Zhejiang 315020, China.
3 Laboratory of Medicine, People's Hospital of Lishui City, Lishui 323000, China.
4 Department of Laboratory Animal Science, Tianjin Medical University, Tianjin 300007, China.
5 Institute for Nutritional Sciences, Shanghai Institutes for Biological Sciences, Chinese Academy of Sciences, Shanghai 200031, China.

* Corresponding author. Email: zhouwu@lsu.edu.cn (W.Z.); dxie@sibs.ac.cn (D.X.)

† These authors contributed equally to this work.

要約
転移は、腫瘍細胞が原発部位から広まり、遠隔部位で二次腫瘍を形成する、多段階過程である。転移の病態生理学的経過は、上皮間葉転換(EMT)およびその逆過程として間葉上皮転換(MET)と呼ばれる、転写的に調節されたプログラムを介して、がん細胞が上皮表現型と間葉表現型とで切り替わる、動的な可塑性によって仲介される。われわれは、自然発生転移性乳がんのマウスモデルを用いて、不均一な原発腫瘍内で転移能を仲介する分子メディエーターと、これらの細胞がその後、転移過程において上皮間葉可塑性を操作する仕組みを検討した。TA2マウスの原発性乳腺腫瘍、循環、肺の転移病変から細胞を単離し、長鎖非コードRNA(lncRNA)H19が、マイクロRNAであるmiR-200b/cおよびlet-7bのスポンジとして差次的に働くことにより、EMTとMETを仲介することを見出した。この能力によってH19は、マイクロRNA標的であるGit2 およびCyth3の発現をそれぞれ調節できることがわかった。これらの遺伝子は、EMTに伴う細胞移動と腫瘍細胞の播種を促進するグアノシントリホスファターゼ(GTPアーゼ)である、RASスーパーファミリーメンバーのアデノシン5′-二リン酸(ADP)リボシル化因子(ARF)の調節因子をコードする。H19の存在量を低下させる、またはその経路に属するメンバーの存在量を操作することにより、同系マウスにおいて移植片からの転移が阻止された。さらに、患者検体におけるH19、GIT2、CYTH3の存在量から、H19は、乳房腫瘍内の転移性細胞のバイオマーカーとして、またおそらくは転移を阻止するための治療標的として、利用できる可能性があることが示唆される。

Citation: W. Zhou, X.-l. Ye, J. Xu, M.-G. Cao, Z.-Y. Fang, L.-Y. Li, G.-H. Guan, Q. Liu, Y.-H. Qian, D. Xie, The lncRNA H19 mediates breast cancer cell plasticity during EMT and MET plasticity by differentially sponging miR-200b/c and let-7b. Sci. Signal. 10, eaak9557 (2017).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2017年6月13日号

Editor's Choice

脳がんの検出と治療

Research Article

lncRNA H19はmiR-200b/cとlet-7bを差次的に吸収することによってEMT/MET可塑性における乳がん細胞の可塑性を仲介する

リガンド活性化NotchはADAM10プロセシングの前にDTX4によるユビキチン化と両側のエンドサイトーシスを受ける

CREB結合タンパク質のユビキチン化と脱ユビキチン化の制御がヒストンのアセチル化および肺の炎症を調節する

最新のResearch Article記事

2024年4月9日号

前立腺がんにおいて脂質合成を阻害するとDNA損傷が誘導され、PARP阻害がもたらす細胞死が増加する

A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

2024年4月2日号

フェリチンの重サブユニットは肝星細胞でICAM-1を介してNLRP3インフラマソームを刺激し、肝臓の炎症を促進する

2024年3月26日号

ミクログリア内のグルコシルセラミドの蓄積がマウスにおいてSTING依存性の神経炎症と神経変性を引き起こす

2024年3月19日号

運動によって誘導されるBDNFは運動後回復期に骨格筋脂質代謝のPPARδ依存性リプログラミングを促進する