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ヒト羊膜線維芽細胞におけるAKAP95を介したPKAのアンカリングが、コルチゾール誘導性のPTGS2発現を媒介する

AKAP95-mediated nuclear anchoring of PKA mediates cortisol-induced PTGS2 expression in human amnion fibroblasts

Research Article

Sci. Signal. 21 Nov 2017:
Vol. 10, Issue 506, eaac6160
DOI: 10.1126/scisignal.aac6160

Jiangwen Lu1,2, Wangsheng Wang1,2, Yabing Mi1,2, Chuyue Zhang1,2, Hao Ying3, Luyao Wang3, Yawei Wang3, Leslie Myatt4, and Kang Sun1,2,*

1 Center for Reproductive Medicine, Ren Ji Hospital, School of Medicine, Shanghai Jiao Tong University, Shanghai 200135, P. R. China.
2 Shanghai Key Laboratory for Assisted Reproduction and Reproductive Genetics, Shanghai 200135, P. R. China.
3 Shanghai First Maternity and Infant Hospital, Tongji University School of Medicine, Shanghai 201204, P. R. China.
4 Department of Obstetrics and Gynecology, Oregon Health and Science University, Portland, OR 97239, USA.

* Corresponding author. Email: sungangrenji@hotmail.com

要約
ヒト羊膜線維芽細胞における、転写因子である環状アデノシン一リン酸-結合タンパク質(CREB)およびシグナル伝達性転写因子3(STAT3)のプロテインキナーゼA(PKA)によるリン酸化は、ヒトの分娩(経膣分娩)に重要な役割を果たしているコルチゾール誘導性のシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)およびプロスタグランジンE2 (PGE2)の産生に必要である。われわれは、羊膜線維芽細胞において、A-キナーゼアンカータンパク質95(AKAP95)によってPKAが核に限局していること、さらにこのような局在化が、COX-2をコードする遺伝子であるPTGS2のコルチゾール誘導性の発現に重要であることを見出した。コルチゾールは、AKAP95をコードする遺伝子の発現を亢進させることで、核内PKAの存在量を増加させた。コルチゾールで処理したヒト羊膜線維芽細胞において、AKAP95のノックダウンは核内PKAおよびリン酸化型CREBの量を減少させるのみならず、PTGS2発現の誘導を減弱させた。一方でコルチゾールに応答したSTAT3のリン酸化は影響されなかった。AKAP95、リン酸化型CREBおよびCOX-2の存在量は、陣痛を伴わない帝王切開した場合の羊膜組織に比べ、経膣分娩したヒト羊膜組織において顕著に多かった。これらの結果は、AKAP95により核内にアンカリングされるPKAが、CREBのリン酸化に必須の役割を果たし、さらにヒトの分娩に重要と考えられる、その後の羊膜線維芽細胞におけるコルチゾールによるCOX-2発現誘導にも必須の役割を果たすことを明らかにしている。

Citation: J. Lu, W. Wang, Y. Mi, C. Zhang, H. Ying, L. Wang, Y. Wang, L. Myatt, K. Sun, AKAP95- mediated nuclear anchoring of PKA mediates cortisol-induced PTGS2 expression in human amnion fibroblasts. Sci. Signal. 10, eaac6160 (2017).

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