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IL-33とST2は転写ネットワークを通じてFAK依存性の抗腫瘍免疫回避を仲介する

IL-33 and ST2 mediate FAK-dependent antitumor immune evasion through transcriptional networks

Research Article

Sci. Signal. 05 Dec 2017:
Vol. 10, Issue 508, eaan8355
DOI: 10.1126/scisignal.aan8355

Bryan Serrels1,*,†, Niamh McGivern1,†, Marta Canel2, Adam Byron1, Sarah C. Johnson3, Henry J. McSorley2, Niall Quinn1, David Taggart2, Alex Von Kreigsheim1, Stephen M. Anderton2, Alan Serrels1,2,*, and Margaret C. Frame1,*

1 Cancer Research UK Edinburgh Centre, Institute of Genetics and Molecular Medicine, University of Edinburgh, Edinburgh EH4 2XR, UK.
2 Medical Research Council Centre for Inflammation Research, Queen's Medical Research Institute, University of Edinburgh, Edinburgh EH16 4TJ, UK.
3 Barts Cancer Institute, Queen Mary University of London, Charterhouse Square, London EC1M 6BQ, UK.

* Corresponding author. Email: m.frame@ed.ac.uk (M.C.F.); b.serrels@ed.ac.uk (B.S.); a.serrels@ed.ac.uk (A.S.)

† These authors contributed equally to this work.

要約
接着斑キナーゼ(FAK)は、腫瘍の増殖と転移を促進する、腫瘍細胞固有の挙動を仲介する。われわれは以前に、FAKが、微小環境において抗腫瘍免疫を抑制する炎症遺伝子の発現も誘導することを示した。本研究では、二重機能性サイトカインであるインターロイキン33(IL-33)の、FAK依存性免疫回避における、これまで知られていなかったきわめて重要な役割を同定した。マウス扁平上皮がん(SCC)細胞において、とくに核内のFAKが、IL-33、ケモカインCCL5、可溶性ST2(sST2)と呼ばれる可溶性分泌型IL-33受容体をコードする遺伝子の発現を増強した。FAK陽性SCC細胞ではIL-33とCCL5の存在量が増加したが、正常ケラチノサイトではそのような増加は認められなかった。IL-33は核内でFAKと結合し、FAK-IL-33複合体は、クロマチン修飾因子および転写調節因子(TAF9、WDR82、BRD4など)のネットワークと相互作用し、それによって、核内因子κB(NF-κB)の活性と、CCL5などのケモカインをコードする遺伝子の誘導を促進した。FAK陽性SCC細胞からのIL-33の分泌は検出されなかった。したがって、sST2の産生および分泌が増加すると、腫瘍環境内で他の細胞種によって分泌されたIL-33が隔離されることにより、浸潤する宿主免疫細胞に対する刺激作用が阻害されるのではないかと考えられる。移植前にSCC細胞からFAK、IL-33、sST2のいずれかを枯渇させると、同系マウスにおいて腫瘍退縮が誘導されたが、CD8+ T細胞を同時に枯渇させた場合は誘導されなかった。われわれのデータは、FAKが腫瘍免疫環境を制御する仕組み、すなわち、核内IL-33が仲介する転写調節ネットワークを介した機構に関する知見をもたらしている。この経路を標的にすることで、患者の抗腫瘍免疫が高まる可能性がある。

Citation: B. Serrels, N. McGivern, M. Canel, A. Byron, S. C. Johnson, H. J. McSorley, N. Quinn, D. Taggart, A. Von Kreigsheim, S. M. Anderton, A. Serrels, M. C. Frame, IL-33 and ST2 mediate FAK-dependent antitumor immune evasion through transcriptional networks. Sci. Signal. 10, eaan8355 (2017).

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