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インターロイキン17受容体のシグナル伝達は、調節ドメイン2で連続して起こるリン酸化によってC/EBPβを阻害する
IL-17 Receptor Signaling Inhibits C/EBPβ by Sequential Phosphorylation of the Regulatory 2 Domain
Sci. Signal., 24 February 2009
Vol. 2, Issue 59, p. ra8
[DOI: 10.1126/scisignal.2000066]
Fang Shen1*, Nan Li2, Padmaja Gade3, Dhananjaya V. Kalvakolanu3, Timothy Weibley1, Brad Doble4, James R. Woodgett5, Troy D. Wood2, and Sarah L. Gaffen1,6†
1 Department of Oral Biology, University at Buffalo, State University of New York, Buffalo, NY 14214, USA.2 Department of Chemistry, University at Buffalo, State University of New York, Buffalo, NY 14260, USA.
3 Department of Microbiology and Immunology, Greenebaum Cancer Center, School of Medicine, University of Maryland, Baltimore, MD 21201, USA.
4 Stem Cell and Cancer Research Institute, Michael G. DeGroote School of Medicine, Faculty of Health Sciences, McMaster University, Hamilton, Ontario, Canada L8N 3Z5.
5 Samuel Lunenfeld Research Institute, Toronto, Ontario, Canada M5G 1X5.
6 University of Pittsburgh, Department of Medicine, Division of Rheumatology and Clinical Immunology, S708 BST, 3500 Terrace Street, Pittsburgh, PA 15261, USA.
* Present address: Genentech Inc., South San Francisco, CA 94080, USA.
†To whom correspondence should be addressed. E-mail: sig65@pitt.edu
要約 : インターロイキン17(IL-17)産生ヘルパーT細胞(TH17)のまさに特徴であるサイトカイン、インターロイキン17は、特有の受容体サブクラスを介してシグナルを伝達するが、そこに関わる機構についてはほとんどわかっていない。IL-17は、転写因子である核内因子κB(NF-κB)、CAATエンハンサー結合タンパク質δ(C/EBPδ)、およびC/EBPβの作用を介して標的遺伝子の発現を促進する。NF-κBおよびC/EBPδの上流にはアダプタータンパク質である腫瘍壊死因子受容体関連因子6(TRAF6)およびAct1が存在するが、C/EBPβの調節については依然として不明である。そこで本稿では、IL-17シグナル伝達によって、C/EBPβの調節ドメイン2にある2つの部位が連続的かつ相互依存的にリン酸化されることを示す。最初のリン酸化は急速であり、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)に依存的に起こるのに対して、第二のリン酸化はグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK-3β)の活性に依存していた。これらの経路は、IL-17受容体A(IL-17RA)の別個のサブドメインによって媒介されていた。188番目のトレオニン(Thr188)のリン酸化は、以前に同定されていたSEF/IL-17Rホモロジードメイン-Toll-IL-1R様ループ(SEFIR-TILL)によって媒介されていたのに対して、Thr179のリン酸化は、IL-17RAの末端部に位置する新たに同定されたモチーフを介して起こった。リン酸化C/EBPβは負のシグナルを仲介していた。なぜならば、ERKおよびGSK-3βを遮断することによってIL-17の標的遺伝子の発現が上昇し、C/EBPβ-Thr188の変異によってC/EBP依存性レポーターの活性化が促進されたからである。また、GSK-3βの過剰発現はIL-17に誘導されるC/EBP依存性レポーターの活性化を抑制し、GSK-3β欠損細胞ではC/EBPβ-Thr179がリン酸化されなかった。すなわち、IL-17はC/EBPβの二重リン酸化の引き金となり、炎症誘発遺伝子の発現を抑制した。今回は、IL-17を介するC/EBP経路に関して初めての詳細な解析であり、IL-17RAを介する負のシグナルとして知られる初めての例である。
F. Shen, N. Li, P. Gade, D. V. Kalvakolanu, T. Weibley, B. Doble, J. R. Woodgett, T. D. Wood, S. L. Gaffen, IL-17 Receptor Signaling Inhibits C/EBPβ by Sequential Phosphorylation of the Regulatory 2 Domain. Sci. Signal. 2, ra8 (2009).