IFN-γシグナル伝達を標的とする細胞透過性SOCS1の細胞内導入

Sci. Signal., 21 July 2009
Vol. 2, Issue 80, p. ra37
[DOI: 10.1126/scisignal.1162191]

Antonio DiGiandomenico, Lukasz S. Wylezinski, and Jacek Hawiger*

Department of Microbiology and Immunology, Vanderbilt University Medical Center, 1161 21st Avenue South, Nashville, TN 37232-2363, USA.
* To whom correspondence should be addressed. E-mail: jacek.hawiger@vanderbilt.edu

要約 : サイトカインシグナル抑制因子1（SOCS1）は、インターフェロン-γ（IFN-γ）シグナルを核に伝達するJanusキナーゼ‐シグナル伝達性転写因子（Janus kinase-signal transducer and activator of transcription：JAK-STAT）経路の細胞内抑制因子である。いくつかの炎症性疾患は、IFN-γシグナル伝達の制御不全と関連するので、我々はこの経路を標的とする組換え型細胞透過性SOCS1（CP-SOCS1）を作製した。本稿では、内因性SOCS1に類似するCP-SOCS1が、IFN-γシグナル伝達複合体の構成因子と相互作用し、STAT1のリン酸化を機能的に減弱させることにより、炎症性ケモカインおよびサイトカイン産生を抑制したことを示す。このように、組換え型CP-SOCS1の細胞内導入によって、炎症性シグナル伝達と抗炎症性シグナル伝達の恒常的平衡が回復し、それにより細胞の抗炎症能が促進された。シグナル伝達を制御するこの手法は、炎症性疾患に関連するシグナル伝達経路を標的とした治療に利用できる可能性がある。