CD3εのコンホメーション変異体によって明らかになったT細胞受容体複合体間の協同性

Sci. Signal., 11 August 2009
Vol. 2, Issue 83, p. ra43
[DOI: 10.1126/scisignal.2000402]

Nuria Martinez-Martín^1*, Ruth M. Risueno^1*, Antonio Morreale^2*, Irene Zaldívar¹, Elena Fernández-Arenas¹, Fernando Herranz², Angel R. Ortiz^2†, and Balbino Alarcón^1‡

¹ Centro de Biología Molecular Severo Ochoa, Consejo Superior de Investigaciones Científicas, Universidad Autónoma de Madrid, Cantoblanco, Madrid 28049, Spain.
² Bioinformatics Unit, Centro de Biología Molecular Severo Ochoa, Consejo Superior de Investigaciones Científicas, Universidad Autónoma de Madrid, Cantoblanco, Madrid 28049, Spain.
* These authors contributed equally to this work.
† Deceased 5 May 2008.
‡ To whom correspondence should be addressed. E-mail: balarcon@cbm.uam.es

要約 : T細胞受容体（TCR）複合体のCD3εサブユニットは、リガンドの結合によって、T細胞の活性化に重要であると考えられるコンホメーション変化を受ける。この過程について検討するために、我々はCD3の細胞外ドメイン内でコンホメーション変化が伝達される仕組みについて分子動力学モデルを構築した。このモデルによって、CD3二量体は、CD3εサブユニットの基部に伝達される硬直状態になることが示された。関連する2つのアミノ酸残基を変異させると、コンホメーション変化の伝達とT細胞の分化および活性化が遮断された。さらに、この阻害は、内在性のCD3εサブユニットが過剰に存在する場合でも起こった。これらの結果から、T細胞活性化にはCD3εのコンホメーション変化が重要であることが強調され、TCR複合体間には思いがけない協同性が存在することが示唆される。