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クルーズトリパノソーマは、細胞内の抗アポトーシス戦略として宿主細胞のAktを標的にする

Trypanosoma cruzi Targets Akt in Host Cells as an Intracellular Antiapoptotic Strategy

Research Article

Sci. Signal., 17 November 2009
Vol. 2, Issue 97, p. ra74
[DOI: 10.1126/scisignal.2000374]

Marina V. Chuenkova and Mercio PereiraPerrin*

Parasitology Research Center, Department of Pathology, Tufts University School of Medicine, 150 Harrison Avenue, Boston, MA 02111, USA.
* To whom correspondence should be addressed. E-mail: maperrin@yahoo.com

要約 : シャーガス病の原因となる、寄生虫クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)は、宿主細胞のサイトゾルで分化してから複製し、感染を広げる。このような過程には、感染細胞の長期生存が必要である。今回われわれは、寄生虫由来神経栄養因子(PDNF)、すなわちT. cruziの表面に存在するトランスシアリダーゼは、細胞質基質において、抗アポトーシス分子であるセリン-トレオニンキナーゼAktの基質であると同時に活性化因子であることを示す。PDNFは、Aktをコードする遺伝子の発現を亢進するのに対して、アポトーシス促進因子をコードする遺伝子の転写を抑制する。その結果として、PDNFは、酸化ストレスならびに炎症性サイトカインの腫瘍壊死因子-αやトランスフォーミング増殖因子-βが誘導するアポトーシスから宿主細胞を保護するような、持続的な機能的応答を誘発する。PDNFは細胞表面の神経栄養因子受容体TrkAに結合することによってAktを活性化することを考え合わせると、このタンパク質は細胞表面で受容体結合リガンドとして働くとともに、細胞内で受容体下流の足場アダプタータンパク質として働くことによって、生存のシグナル伝達を活性化すると考えられる。

M. V. Chuenkova, M. PereiraPerrin, Trypanosoma cruzi Targets Akt in Host Cells as an Intracellular Antiapoptotic Strategy. Sci. Signal. 2, ra74 (2009).

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