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ヒト細胞およびマウスニューロンにおける家族性アルツハイマー疾患関連のプレセニリン突然変異体によるIP3受容体モード開閉の機能獲得亢進

Gain-of-Function Enhancement of IP3 Receptor Modal Gating by Familial Alzheimer’s Disease-Linked Presenilin Mutants in Human Cells and Mouse Neurons

Research Article

Sci. Signal., 23 March 2010
Vol. 3, Issue 114, p. ra22
[DOI: 10.1126/scisignal.2000818]

King-Ho Cheung1, Lijuan Mei1, Don-On Daniel Mak1, Ikuo Hayashi2, Takeshi Iwatsubo2, David E. Kang3, and J. Kevin Foskett1,4*

1 Department of Physiology, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
2 Department of Neuropathology and Neuroscience, University of Tokyo, Tokyo 113-0033, Japan.
3 Department of Neurosciences, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.
4 Department of Cell and Developmental Biology, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: foskett@mail.med.upenn.edu

要約:家族性アルツハイマー病(FAD)はアミロイド前駆体タンパク質またはプレセニリン(PS1およびPS2)の突然変異によって誘発される。多くのFAD関連PS突然変異はアミロイド生成の近位でアミロイド生成とは独立した機序により細胞内カルシウム(Ca2+)ホメオスタシスに影響を及ぼすが、分子的機構の詳細については議論の分かれるところである。いくつかのFAD誘発性PS変異体は、FADの遺伝的特徴を反映した、セクレターゼ活性とは独立した機能獲得作用によってイノシトールトリスリン酸受容体(IP3R)Ca2+放出チャネルの開閉を亢進させる。一方、野生型PSや前頭側頭認知症を誘発するPS変異体にはそのような作用はなかった。FAD誘発PS変異体はIP3Rチャネルが開閉するモードを変化させた。FAD患者由来リンパ芽球または無症候性PS1-ADマウス皮質ニューロン中の内在性IP3Rを記録すると、これらは野生型PSを有する細胞中のIP3Rに比べて、開確率の高いバーストモードにあり、その結果、Ca2+シグナル伝達が亢進していることがわかった。これらの結果から、IP3R-PS相互作用を介するCa2+シグナル伝達亢進がFADにおける疾患特異的かつ頑健な近位機構であることが示唆される。

K.-H. Cheung, L. Mei, D.-O. D. Mak, I. Hayashi, T. Iwatsubo, D. E. Kang, J. K. Foskett, Gain-of-Function Enhancement of IP3 Receptor Modal Gating by Familial Alzheimer's Disease-Linked Presenilin Mutants in Human Cells and Mouse Neurons. Sci. Signal. 3, ra22 (2010).

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