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NDR1キナーゼの消失によってマウスがT細胞リンパ腫を発症しやすくなる

Ablation of the Kinase NDR1 Predisposes Mice to the Development of T Cell Lymphoma

Research Article

Sci. Signal., 15 June 2010
Vol. 3, Issue 126, p. ra47
[DOI: 10.1126/scisignal.2000681]

Hauke Cornils1*, Mario R. Stegert1, Alexander Hergovich1, Debby Hynx1, Debora Schmitz1, Stephan Dirnhofer2, and Brian A. Hemmings1*

1 Friedrich Miescher Institute for Biomedical Research, Maulbeerstrasse 66, CH-4058 Basel, Switzerland.
2 Institute of Pathology, University of Basel, Schonbeinstrasse 40, CH-4003 Basel, Switzerland.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: hauke.cornils@fmi.ch (H.C.); brian.hemmings@fmi.ch (B.A.H.)

要約:アポトーシスの欠陥はさまざまなヒト悪性腫瘍の発症の一因となる。核Dbf2関連キナーゼ1(NDR1) およびNDR2は、がん抑制タンパク質RASSF1A(RAS関連ドメインファミリー1A)およびMST1(哺乳類Ste20様キナーゼ1)の下流でアポ トーシスを媒介する。アポトーシスにおけるNDR1の役割をさらに解析するために、われわれはNDR1欠損マウスを作製した。NDR1は内因性および外因性のアポトーシス促進性刺激によって活性化される(このことはアポトーシスの調節にNDR1が働いていることを示す)が、NDR1欠 損T細胞は、さまざまなアポトーシス促進性刺激に対して野生型細胞と同様にアポトーシスを起こした。NDR1およびNDR2タンパク質の量を解析したとこ ろ、NDR1の欠損はNDR2タンパク質量の増大によって機能的に補償されることが明らかになった。このような補償が働いているにもかかわらず、NDR1-/-マウスとNDR1+/-マ ウスは、野生型マウスに比べてT細胞リンパ腫を発症しやすかった。マウスとヒトにおける腫瘍の発症は、T細胞リンパ腫検体中の全体のNDRタンパク質量の 減少を伴っていた。このように、NDR1量の減少は、両アイソフォームをあわせた全体量の減少を引き起こした。以上をまとめると、われわれのデータは、 NDRタンパク質量の減少によってアポトーシス促進性刺激への応答が低下し、これによって腫瘍の発症が促進されることを示唆している。

H. Cornils, M. R. Stegert, A. Hergovich, D. Hynx, D. Schmitz, S. Dirnhofer, B. A. Hemmings, Ablation of the Kinase NDR1 Predisposes Mice to the Development of T Cell Lymphoma. Sci. Signal. 3, ra47 (2010).

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