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生細胞内でのホモ二量体化による3-ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ1の活性制御

Regulation of 3-Phosphoinositide-Dependent Protein Kinase 1 Activity by Homodimerization in Live Cells

Research Article

Sci. Signal., 26 October 2010
Vol. 3, Issue 145, p. ra78
[DOI: 10.1126/scisignal.2000738]

Thomas A. Masters1,2*, Veronique Calleja1*, Daven A. Armoogum2, Richard J. Marsh2, Christopher J. Applebee1, Michel Laguerre3, Angus J. Bain2†, and Banafshe Larijani1†

1 Cell Biophysics Laboratory, Cancer Research UK, Lincoln's Inn Fields Laboratories, London Research Institute, London WC2A 3LY, UK.
2 Ultrafast Laser Spectroscopy Group, Department of Physics and Astronomy, University College London, London WC1E 6BT, UK.
3 IECB-CBMN-UMR 5248-CNRS, Institut Europeen de Chimie et Biologie, University of Bordeaux, Pessac 33607, France.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: banafshe.larijani@cancer.org.uk (B.L.); a.bain@ucl.ac.uk (A.J.B.)

要約:3-ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ1(PDK1)は、シグナル伝達に不可欠なタンパク質キ ナーゼの活性を制御するうえで中心的な役割を果たす。しかし、PDK1自体の制御のされ方はほとんど知られていない。われわれは、PDK1のホモ二量体化 がPDK1の活性を空間的および時間的に制御する調節機構であることを見出した。生細胞内でのPDK1のホモ二量体化を観察するために、われわれは蛍光寿 命イメージング顕微鏡法によってモニタリングされるフェルスター(F?rster)共鳴エネルギー移動を用いた。プレクストリン相同(PH)ドメインに依 存するPDK1の基底レベルの二量体会合は、増殖因子で細胞を刺激すると増加した。この会合は、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ阻害薬によっても、 PDK1のPHドメインの突然変異または完全欠損によっても妨げられた。PDK1のホモ二量体の空間分布がPDK1とタンパク質キナーゼB(PKB)のヘ テロ二量体の空間分布とは異なっており、単量体のPDK1変異体にPKBをリン酸化する能力があったことから、その単量体が活性をもつコンフォメーション であることが示唆された。自己リン酸化残基のスレオニン513をグルタミン酸に置換した突然変異は、ホモ二量体のインターフェースを不安定化させると予想 されていたが、PDK1とPKBの間の相互作用とPKBの活性を高めた。in vitroでの時間分解蛍光の強度と異方性の測定を通 じ、実在する結晶構造と分子計算モデリングを組み合わせて、われわれはPDK1のホモ二量体化の幾何学的配置を決定した。さらにこの方法で、細胞内の PDK1二量体の集団サイズを計算した。これまで特徴づけられていなかったPDK1活性化の制御機構についての記述は、PDK1活性を治療的に調節する可 能性を開くものである。

T. A. Masters, V. Calleja, D. A. Armoogum, R. J. Marsh, C. J. Applebee, M. Laguerre, A. J. Bain, B. Larijani, Regulation of 3-Phosphoinositide-Dependent Protein Kinase 1 Activity by Homodimerization in Live Cells. Sci. Signal. 3, ra78 (2010).

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