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アポトーシス制御における非占有のインスリン受容体およびIGF-1受容体のキナーゼ非依存的役割

A Kinase-Independent Role for Unoccupied Insulin and IGF-1 Receptors in the Control of Apoptosis

Research Article

Sci. Signal., 7 December 2010
Vol. 3, Issue 151, p. ra87
[DOI: 10.1126/scisignal.2001173]

Jeremie Boucher, Yazmin Macotela, Olivier Bezy, Marcelo A. Mori, Kristina Kriauciunas, and C. Ronald Kahn*

Joslin Diabetes Center and Department of Medicine, Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA 02215, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: c.ronald.kahn@joslin.harvard.edu

要約:インスリンおよびインスリン様増殖因子-1(IGF-1)は抗アポトーシスホルモンとして作用する。われわれは、予想に反して、インスリン受容体(IR)およびIGF-1受容体(IGF1R)が欠如した二重ノックアウト(DKO)細胞が、内因性経路あるいは外因性経路を通じて誘発されたアポトーシスに耐性があることを発見した。このアポトーシス耐性はアポトーシス誘発性タンパク質Baxの量の減少と抗アポトーシスタンパク質Bcl-2、Bcl-xL、XIAPおよびFlipの量の増大と関連していた。これらのタンパク質量の変化には主に転写後の機構が関与していた。DKO細胞のIRまたはIGF1Rを回復させると、アポトーシス感受性も回復した。注目すべきことに、IRの触媒不活性型変異体を発現させてもアポトーシス感受性が回復した。このように、IRおよびIGF1Rは細胞生存の制御において双方向性の役割を担っており、ディペンデンス(依存性)受容体とみなすことができる。すなわち、インスリンおよびIGF-1結合は受容体チロシンキナーゼ活性を昂進させてアポトーシスを遮断するのに対して、リガンドが結合していないIRおよびIGF1Rは触媒活性とは無関係な機構によって細胞死を許容する働きをもつ。

J. Boucher, Y. Macotela, O. Bezy, M. A. Mori, K. Kriauciunas, C. R. Kahn, A Kinase-Independent Role for Unoccupied Insulin and IGF-1 Receptors in the Control of Apoptosis. Sci. Signal. 3, ra87 (2010).

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2010年12月7日号

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