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内胚葉と中胚葉のSGK1キナーゼがDeath-Inducing Signaling Complex構成要素の発現を抑制することで外胚葉の生存を促す

The Kinase SGK1 in the Endoderm and Mesoderm Promotes Ectodermal Survival by Down-Regulating Components of the Death-Inducing Signaling Complex

Research Article

Sci. Signal., 18 January 2011
Vol. 4, Issue 156, p. ra2
[DOI: 10.1126/scisignal.2001211]

Tatsuya Endo1, Morioh Kusakabe1,2*, Kazunori Sunadome1, Takuya Yamamoto1, and Eisuke Nishida1,2*

1 Department of Cell and Developmental Biology, Graduate School of Biostudies, Kyoto University, Sakyo-ku, Kyoto 606-8502, Japan.
2 Japan Science and Technology-Core Research for Evolutional Science and Technology, Chiyoda-ku, Tokyo 102-0075, Japan.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: morioh@lif.kyoto-u.ac.jp (M.K.);nishida@lif.kyoto-u.ac.jp (E.N.)

要約:動物の発生には細胞の生存とアポトーシスとのバランスが不可欠である。正しい発生には胚葉間の複数の相互作用が関係するが、隣接する、もしくは遠位の胚葉の細胞生存を促す細胞間および組織間のシグナル伝達経路については、ほとんど明らかになっていない。我々は、アフリカツメガエルの初期胚形成において血清-グルココルチコイド誘導性キナーゼ1(SGK1)が非細胞自律性の機序により外胚葉細胞の生存を促すことを明らかにした。アフリカツメガエル胚の背側でSKG1が欠損すると胚軸が短縮し、頭部構造の退縮と眼欠損が生じ、一方、腹側でSKG1が欠損すると尾部の形状に欠陥が生じた。SGK1をコードする遺伝子は主に内胚葉と背側中胚葉に発現されていたが、SGK1のノックダウンによって外胚葉で過剰なアポトーシスが生じた。SGK1が欠損した外胚葉外植体ではアポトーシスはほとんど示されず、SGK1は外胚葉細胞に非細胞自律性の影響をもつことが示唆された。マイクロアレイ解析により、SGK1のノックダウンによってDeath-Inducing Signaling Complex(DISC)の構成要素であるFADD(Fas結合デスドメインタンパク質)と、カスパーゼ10をコードする遺伝子の発現が亢進することが明らかになった。DISC機能の抑制は、SGK1ノックダウン胚における過剰なアポトーシスを抑制した。SGK1は転写因子核因子κB(NF-κB)を介して骨形成タンパク質7(BMP7)の生成を刺激し、SGK1ノックダウン胚におけるBMP7の過剰発現はDISC構成因子の量を低下させた。われわれはホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)がSGK1の上流で働くことを示している。したがってPI3K〜SGK1〜NF-kBという内胚葉および中胚葉性の経路がBMP7を生成させ、これがDISC機能を低下させることで外胚葉の生存を促すことを明らかにした。

T. Endo, M. Kusakabe, K. Sunadome, T. Yamamoto, E. Nishida, The Kinase SGK1 in the Endoderm and Mesoderm Promotes Ectodermal Survival by Down-Regulating Components of the Death-Inducing Signaling Complex. Sci. Signal. 4, ra2 (2011).

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2011年1月18日号

Editor's Choice

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Research Article

内胚葉と中胚葉のSGK1キナーゼがDeath-Inducing Signaling Complex構成要素の発現を抑制することで外胚葉の生存を促す

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