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低カリウム血症においてTWIK-1二孔ドメインカリウムチャネルがイオン選択性を変化させ、内向きリークナトリウム電流を誘導する
TWIK-1 Two-Pore Domain Potassium Channels Change Ion Selectivity and Conduct Inward Leak Sodium Currents in Hypokalemia
Sci. Signal., 7 June 2011
Vol. 4, Issue 176, p. ra37
[DOI: 10.1126/scisignal.2001726]
Liqun Ma, Xuexin Zhang, and Haijun Chen*
Department of Biological Sciences, University at Albany, State University of New York, Albany, NY 12222, USA.
* To whom correspondence should be addressed. E-mail: hchen01@albany.edu
要約:バックグラウンドカリウム(K+)チャネルは、通常はK+に対して選択的透過性を示し、心筋静止膜電位を約-80mVに維持する。病的な低カリウム血症で生じる生理的レベル以下の細胞外K+濃度([K+] o)では、ヒト心筋細胞の静止膜電位は脱分極して約-50mVにまでなることがあるのに対して、ラットおよびマウス心筋細胞は過分極になる。このことはK+に関するネルンストの式と合致する。このような生理的レベル以下の[K+] oにおける心筋細胞の逆説的脱分極は心不整脈の原因であるかもしれず、これには内向きリークナトリウム(Na+)電流が関与すると考えられる。本稿では、生理的レベル以下の[K+] oにおいて、ヒト心臓TWIK-1(K2P1とも呼ばれる)二孔ドメインK+チャネルがイオン選択性を変化させて外部Na+に対して透過性になり、内向きリークNa+電流を誘導することを示す。このようなイオン選択性の変化には、孔選択性配列TxGYG内の特定のトレオニン残基(Thr118)が必要であった。マウス心筋細胞由来HL-1細胞は、TWIK-1チャネルの強制発現によって逆説的脱分極を示したのに対して、ヒト初代心筋細胞においてTWIK-1をノックダウンすると逆説的脱分極が消失した。これらの知見は、病的低カリウム血症においてTWIK-1 K+チャネルのイオン選択性が変化することを示唆し、低[K+] oにおいて心筋の逆説的脱分極を誘導するまたはそれに寄与する内向きリークNa+電流の分子基盤を解明し、心臓の興奮性を調節する機構を特定する。
L. Ma, X. Zhang, H. Chen, TWIK-1 Two-Pore Domain Potassium Channels Change Ion Selectivity and Conduct Inward Leak Sodium Currents in Hypokalemia. Sci. Signal. 4, ra37 (2011).