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胸腺細胞前駆細胞におけるプレTCRとγδ型TCRのシグナル開始は受容体のオリゴマー形成に関係するドメインを必要としない

PreTCR and TCRγδ Signal Initiation in Thymocyte Progenitors Does Not Require Domains Implicated in Receptor Oligomerization

Research Article

Sci. Signal., 19 July 2011
Vol. 4, Issue 182, p. ra47
[DOI: 10.1126/scisignal.2001765]

Juliet Mahtani-Patching1*, Joana F. Neves1,2*, Dick John Pang1, Kostadin V. Stoenchev1, Ana M. Aguirre-Blanco1, Bruno Silva-Santos3,4, and Daniel J. Pennington1†

1 Blizard Institute, Barts and The London School of Medicine, Queen Mary University of London, 4 Newark Street, London E1 2AT, UK.
2 Programa Doutoral de Biologia Experimental e Biomedicina, Centro de Neurociencias e Biologia Celular, Universidade de Coimbra, 3000-000 Coimbra, Portugal.
3 Instituto de Medicina Molecular, Faculdade de Medicina, Universidade de Lisboa, 1649-028 Lisbon, Portugal.
4 Instituto Gulbenkian de Ciencia, 2780-000 Oeiras, Portugal.

* These authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: d.pennington@qmul.ac.uk

要約:胸腺において胸腺細胞がαβ型かγδ型T細胞の形をとるかは、それぞれT細胞受容体前駆体(プレTCR)よって運ばれる比較的弱いシグナル、あるいはγδ型TCRによって運ばれる比較的強いシグナルによるβ選択チェックポイントで決定される。β選択チェックポイントにおけるシグナル開始は、これらの受容体のリガンド結合に非依存的であると考えられる。プレTCRα(pTα)鎖の免疫グロブリン(Ig)様ドメイン、あるいはTCRδの可変ドメインによって仲介されると考えられる受容体のオリゴマー形成は、初期CD4-CD8-ダブルネガティブ(DN)胸腺前駆細胞でシグナル伝達を開始する統一された機構であるという報告がある。本稿でわれわれは、受容体オリゴマー形成に関わるpTαとTCRδの細胞外の領域は、プレTCRやTCRγδのシグナル開始には必要ないことを示す。実際に、細胞外のIg様ドメインの全てを欠くTCRγδでも細胞のβ選択チェックポイントを進めるシグナル伝達能を有するTCRを形成した。このような観察結果は、DN胸腺細胞のシグナル開始は単純にTCR鎖の表面会合の結果であり、シグナルの強さが表面のTCRの存在量に相関することを示す。したがって、DN細胞のTCR複合体の細胞表面での存在量を調節する過程(オリゴマー形成により誘導されるエンドサイトーシスなど)は、細胞がαβ型とγδ型のどちらのT細胞運命を選ぶかという決定に主要な影響を持つことが予測される。

J. Mahtani-Patching, J. F. Neves, D. J. Pang, K. V. Stoenchev, A. M. Aguirre-Blanco, B. Silva-Santos, D. J. Pennington, PreTCR and TCRγδ Signal Initiation in Thymocyte Progenitors Does Not Require Domains Implicated in Receptor Oligomerization. Sci. Signal. 4, ra47 (2011).

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