• ホーム
  • AktとERKは、細胞周期抑制因子p57Kip2を介して、増殖因子IGF-1およびEGFに対する乳腺上皮細胞の増殖応答を制御する

AktとERKは、細胞周期抑制因子p57Kip2を介して、増殖因子IGF-1およびEGFに対する乳腺上皮細胞の増殖応答を制御する

Akt and ERK Control the Proliferative Response of Mammary Epithelial Cells to the Growth Factors IGF-1 and EGF Through the Cell Cycle Inhibitor p57Kip2

Research Article

Sci. Signal., 6 March 2012
Vol. 5, Issue 214, p. ra19
[DOI: 10.1126/scisignal.2001986]

Devin T. Worster1, Tobias Schmelzle1*, Nicole L. Solimini1†, Eric S. Lightcap2, Bjorn Millard3, Gordon B. Mills4, Joan S. Brugge1‡, and John G. Albeck1

1 Department of Cell Biology, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
2 Millennium Pharmaceuticals, Cambridge, MA 02139, USA.
3 Department of Systems Biology, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
4 Department of Systems Biology, University of Texas M. D. Anderson Cancer Center, Houston, TX 77030, USA.

* Present Address: Novartis Institutes for Biomedical Research, Disease Area Oncology, CH-4002 Basel, Switzerland.

† Present Address: Department of Genetics, Harvard University Medical School and Division of Genetics, Brigham and Women’s Hospital, Boston, MA 02115, USA.

‡ To whom correspondence should be addressed. E-mail: joan_brugge@hms.harvard.edu

要約:上皮細胞は、上皮増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子1(IGF-1)、およびインスリンなどの増殖因子に対して応答する。今回われわれは、ハイコンテント免疫蛍光顕微鏡法を用いて、乳腺上皮細胞の増殖を促進するEGFの下流、およびEGFに対する増殖応答を促進するが、独立して増殖を刺激することはないインスリンまたはIGF-1の下流のシグナル伝達ネットワークの相違を定量化した。われわれは、サイクリン依存性キナーゼ阻害因子p21Cip1およびp57Kip2の存在量が、IGF-1またはインスリンに応答して増大するが、EGFに応答して減少することを見出した。p57Kip2を欠乏させると、IGF-1またはインスリンはEGFの非存在下で細胞増殖を十分に誘導できるようになったが、p21Cip1を欠乏させてもそのような効果はなかった。PI3K(ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ)−Akt−mTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)経路を介するシグナル伝達はp57Kip2の増大にとって必要かつ十分であったが、MEK[マイトジェン活性化または細胞外シグナル制御プロテインキナーゼ(ERK)キナーゼ]−ERK活性はこの増大を抑制し、Akt活性を伴わない増殖を制限する調節回路を形成した。p57Kip2のノックダウンによって、腫瘍に関連するPI3K変異体が誘導する増殖表現型が促進され、三次元培養における形態形成の際の増殖停止から乳腺上皮腺房が解放された。これらの結果から、インスリンとIGF-1の状況依存的な増殖活性が説明される可能性があり、PI3K経路の過剰な活性化が頻繁に見られる多くの乳がんにおいて、p57Kip2をコードするCDKN1C遺伝子座が発現抑制されているという知見が説明される可能性がある。したがって、p57Kip2の状態は、ERK経路またはPI3K経路を標的とする治療を考慮する際に評価すべき重要な要素かもしれない。

D. T. Worster, T. Schmelzle, N. L. Solimini, E. S. Lightcap, B. Millard, G. B. Mills, J. S. Brugge, J. G. Albeck, Akt and ERK Control the Proliferative Response of Mammary Epithelial Cells to the Growth Factors IGF-1 and EGF Through the Cell Cycle Inhibitor p57Kip2. Sci. Signal. 5, ra19 (2012).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signalingオリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2012年3月6日号

Editor's Choice

細胞生物学
単なるプロテアーゼにあらず

Research Article

AktとERKは、細胞周期抑制因子p57Kip2を介して、増殖因子IGF-1およびEGFに対する乳腺上皮細胞の増殖応答を制御する

STINGはサイトゾルDNAシグナル伝達経路においてTBK1によるIRF3リン酸化を指定する

Perspectives

サイトゾルのDNA依存性IRF3活性化に対するSTING末端の働き

最新のResearch Article記事

2013年10月29日号

Gタンパク質共役受容体およびS-ニトロシル化シグナル伝達の収束が心虚血損傷の転帰を決定する

2013年10月22日号

低分子アゴニストを用いてオーファンGタンパク質共役受容体GPR17のシグナル伝達と機能を解読する

抗糖尿病薬スルホニル尿素とcAMPは協調的にEpac2Aを活性化する

2013年10月15日号

機能的発現変化オントロジー(Functional Signature Ontology:FUSION)を用いて天然産物の作用機序を同定する

ジアシルグリセロールキナーゼζは、B細胞抗原受容体に依存するERKシグナル伝達の活性化を制限し、早期抗体応答を阻害する