• ホーム
  • エンドサイトーシスの選別によるEGF転写応答の調節

エンドサイトーシスの選別によるEGF転写応答の調節

Regulation of the EGF Transcriptional Response by Endocytic Sorting

Research Article

Sci. Signal., 13 March 2012
Vol. 5, Issue 215, p. ra21
[DOI: 10.1126/scisignal.2002351]

Ben Brankatschk1*, Sven P. Wichert2, Shem D. Johnson1, Olivier Schaad1,3, Moritz J. Rossner2, and Jean Gruenberg1†

1 Department of Biochemistry, University of Geneva, 30 Quai E. Ansermet, 1211 Geneva 4, Switzerland.
2 Research Group Gene Expression, Max Planck Institute of Experimental Medicine, Hermann-Rein-Strasse 3, 37075 Goettingen, Germany.
3 Genomics Platform, CMU, University of Geneva, 1 Rue Michel-Servet, 1211 Geneva 4, Switzerland.

* Present address: Research Group Gene Expression, Max Planck Institute of Experimental Medicine, Hermann-Rein-Strasse 3, 37075 Goettingen, Germany.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: jean.gruenberg@unige.ch

要約:細胞表面での上皮増殖因子受容体(EGFR)へのリガンド結合は、細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK)カスケードを活性化する。リガンドと結合して活性化された受容体は細胞内へ移行する。この過程は、シグナル伝達の終結に寄与するか、もしくは細胞内部位からのシグナル伝達を可能にするかもしれない。ESCRT(endosomal sorting complex required for transport、エンドソーム輸送選別複合体)複合体は、受容体を多胞エンドソームの腔内小胞へと選別輸送し、そこからさらに受容体をリソソームに輸送して分解することによって、シグナル伝達の終結に寄与しているかもしれない。われわれは、ESCRTの欠乏によってエンドソーム内へのEGFRの貯留が起こり、EGFRとその下流のキナーゼの活性化が亢進するが、EGF誘導性転写応答の全体的なプロファイルと振幅にはほとんど影響がないことを示した。対照的に、受容体のエンドサイトーシスまたはユビキチン化を妨げてEGFRを細胞表面にとどめておくと、EGFRの過剰発現によって誘導される転写産物と同様に、多くのEGF誘導性転写産物の量の増大が促進された。また、完全なEGF転写プログラムは、受容体へのリガンド結合のあとに急速に活性化されることもわかった。したがって、われわれは、転写応答は主に細胞表面の受容体分子によって誘発されると結論する。

B. Brankatschk, S. P. Wichert, S. D. Johnson, O. Schaad, M. J. Rossner, J. Gruenberg, Regulation of the EGF Transcriptional Response by Endocytic Sorting. Sci. Signal. 5, ra21 (2012).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2012年3月13日号

Editor's Choice

アポトーシス
スフィンゴ脂質は細胞死の閾値を低下させる

Research Article

エンドサイトーシスの選別によるEGF転写応答の調節

Research Resources

ディスオーダー領域において進化的に保存された配列のプロテオームワイドな発見

Perspectives

スルフェニル化からスルフヒドリル化へ:チオレートが我慢すべきもの

最新のResearch Article記事

2024年2月27日号

ALOX5はCD4+ T細胞のパイロトーシスと関節リウマチにおける組織炎症を駆動する

2024年2月20日号

デザイナー高密度リポタンパク質粒子が内皮バリア機能を強化し炎症を抑制する

T細胞におけるgp130シグナル伝達の活性化がTH17介在性の多臓器自己免疫を引き起こす

2024年2月13日号

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

リラキシン-3受容体のGαi/oバイアスステープルペプチドアゴニストによるバイアスアゴニズムの機構