• ホーム
  • MAPKによって仲介される細胞表面での二量体化とTIMP3の会合の調節によるTACEの活性化

MAPKによって仲介される細胞表面での二量体化とTIMP3の会合の調節によるTACEの活性化

TACE Activation by MAPK-Mediated Regulation of Cell Surface Dimerization and TIMP3 Association

Research Article

Sci. Signal., 1 May 2012
Vol. 5, Issue 222, p. ra34
[DOI: 10.1126/scisignal.2002689]

Pinglong Xu, Jianming Liu, Masayo Sakaki-Yumoto, and Rik Derynck*

Department of Cell and Tissue Biology, Programs in Cell Biology and Developmental Biology, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: rik.derynck@ucsf.edu

要約:腫瘍壊死因子-α(TNF-α)-変換酵素[TACE:別名ADAM17(ディスインテグリン・メタロプロテアーゼ17)]が仲介する細胞外ドメインのシェディングは、細胞増殖、炎症、およびがんの進行を調節する重要なスイッチになる。TACEが仲介する細胞外ドメインの切断は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)p38およびERK(細胞外シグナル制御キナーゼ)のシグナル伝達によって活性化される。今回われわれは、基本条件下でTACEが主に細胞表面に二量体として存在していること、そのためには細胞質ドメインが必要であり、このことにより 組織性メタロプロテアーゼ阻害因子-3(TIMP-)との効率的な会合と、TACE活性の抑制が可能となることを見いだした。ERKまたはp38 MAPK経路が活性化されると、TACEの二量体から単量体に平衡がシフトし、このシフトによって細胞表面へのTACEの提示が増大し、TIMP3との会合が減少した。これによって、TIMP3によるTACEの抑制が解除され、TACEを介するトランスフォーミング増殖因子-α(TGF-α)のタンパク分解が亢進した。このように、細胞シグナル伝達が二量体-単量体の平衡状態と阻害因子との会合を変化させ、TACEが仲介する細胞外ドメインシェディングを活性化する。このような調節機構は、他のADAMプロテアーゼに拡大して適用できるかもしれない。

P. Xu, J. Liu, M. Sakaki-Yumoto, R. Derynck, TACE Activation by MAPK-Mediated Regulation of Cell Surface Dimerization and TIMP3 Association. Sci. Signal. 5, ra34 (2012).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2012年5月1日号

Editor's Choice

細胞生物学
アイ・ラブ・ロイシン

Research Article

MAPKによって仲介される細胞表面での二量体化とTIMP3の会合の調節によるTACEの活性化

後生動物出現前の動物のゲノム調査によって、細胞質チロシンキナーゼが古くから保存されていることと、および受容体チロシンキナーゼが多重放散していることが示される

Perspectives

タンパク質-クロマチン間の相互作用の調節因子として働くホスホイノシチド

最新のResearch Article記事

2024年2月27日号

ALOX5はCD4+ T細胞のパイロトーシスと関節リウマチにおける組織炎症を駆動する

2024年2月20日号

デザイナー高密度リポタンパク質粒子が内皮バリア機能を強化し炎症を抑制する

T細胞におけるgp130シグナル伝達の活性化がTH17介在性の多臓器自己免疫を引き起こす

2024年2月13日号

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

リラキシン-3受容体のGαi/oバイアスステープルペプチドアゴニストによるバイアスアゴニズムの機構