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後生動物出現前の動物のゲノム調査によって、細胞質チロシンキナーゼが古くから保存されていることと、および受容体チロシンキナーゼが多重放散していることが示される
Genomic Survey of Premetazoans Shows Deep Conservation of Cytoplasmic Tyrosine Kinases and Multiple Radiations of Receptor Tyrosine Kinases
Sci. Signal., 1 May 2012
Vol. 5, Issue 222, p. ra35
[DOI: 10.1126/scisignal.2002733]
Hiroshi Suga1,2*, Michael Dacre3, Alex de Mendoza1,2, Kamran Shalchian-Tabrizi4, Gerard Manning3*, and Iñaki Ruiz-Trillo1,2,5*
1 Institut de Biologia Evolutiva (UPF-CSIC), Passeig Marítim de la Barceloneta 37-49, 08003 Barcelona, Spain.
2 Departament de Genética, Universitat de Barcelona, 08024 Barcelona, Spain.
3 Razavi Newman Center for Bioinformatics, Salk Institute for Biological Studies, La Jolla, CA 92037, USA.
4 Microbial Evolution Research Group, Department of Biology, University of Oslo, 0316 Oslo, Norway.
5 Institució Catalana per a la Recerca i Estudis Avançats, 08010 Barcelona, Spain.
* To whom correspondence should be addressed. E-mail: hiroshi.suga@ibe.upf-csic.es (H.S.); manning@manninglab.org (G.M.); inaki.ruiz@icrea.es (I.R.-T.)
要約:単細胞の祖先から多細胞の後生動物への進化は、生命の歴史におけるもっとも重要な進展のひとつである。プロテインチロシンキナーゼは、後生動物の細胞間コミュニケーション、細胞接着、および分化において重要な役割を果たす。したがって、プロテインチロシンキナーゼの起源と初期の進化を解明するこは、後生動物の起源を理解するために極めて重要である。チロシンキナーゼは襟鞭毛虫には存在するが、後生動物出現前の他の系統に存在することを示すデータはほとんどない。チロシンキナーゼの起源を解明するために、われわれは、後生動物クレード(分岐群)と襟鞭毛虫クレードにもっとも近いフィラステレアの詳述されている2つの種、Capsaspora owczarzakiとMinisteria vibransにおいて、チロシンキナーゼをコードする遺伝子のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくゲノム調査を実施した。われわれは、チロシンキナーゼをコードする遺伝子としてC. owczarzakiの全ゲノム配列上で同定されている103の遺伝子と、PCRによってM. vibransからクローニングされたチロシンキナーゼをコードする15の遺伝子を提示する。そして、詳細な系統発生学的解析、タンパク質ドメインの構成の比較、および以前に全ゲノム配列中に見つけられたチロシンキナーゼの配列の再決定と改訂を通じて、後生動物の細胞質チロシンキナーゼの基本的なレパートリーはフィラステレア種が後生動物クレードと襟鞭毛虫クレードから分岐するより前に確立されたことをわれわれは実証する。対照的に、受容体チロシンキナーゼは、フィラステレアクレード、襟鞭毛虫クレード、後生動物クレードのそれぞれにおいて大規模に多様化した。細胞質チロシンキナーゼと受容体チロシンキナーゼの間にみられるこのような分岐パターンの違いは、それまで環境要因を受け取るために用いられてきた受容体チロシンキナーゼが、多細胞生物である後生動物の登場に際して、その後は細胞間のコミュニケーションツールとして採用されるようになったことを示唆する。
H. Suga, M. Dacre, A. de Mendoza, K. Shalchian-Tabrizi, G. Manning, I. Ruiz-Trillo, Genomic Survey of Premetazoans Shows Deep Conservation of Cytoplasmic Tyrosine Kinases and Multiple Radiations of Receptor Tyrosine Kinases. Sci. Signal. 5, ra35 (2012).