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ヒストンデアセチラーゼ6および9とサーチュイン1が、共通の機構およびアイソフォーム特異的機構を介してFoxp3+制御性T細胞の機能を制御する

Histone Deacetylases 6 and 9 and Sirtuin-1 Control Foxp3+ Regulatory T Cell Function Through Shared and Isoform-Specific Mechanisms

Research Article

Sci. Signal., 19 June 2012
Vol. 5, Issue 229, p. ra45
[DOI: 10.1126/scisignal.2002873]

Ulf H. Beier1,2, Liqing Wang3, Rongxiang Han3, Tatiana Akimova3, Yujie Liu3, and Wayne W. Hancock2,3*

1 Division of Nephrology, Department of Pediatrics, Children's Hospital of Philadelphia, Philadelphia, PA 19104, USA.
2 University of Pennsylvania School of Medicine, Philadelphia, PA 19104, USA.
3 Division of Transplant Immunology, Department of Pathology and Laboratory Medicine and Biesecker Center for Pediatric Liver Disease, Children's Hospital of Philadelphia, Philadelphia, PA 19104, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: whancock@mail.med.upenn.edu

要約:ヒストンデアセチラーゼのHDAC6、HDAC9、あるいはサーチュイン1(Sirt1)の治療目的の阻害は、転写因子Foxp3(Forkhead box P3)を含む制御性T細胞(Tregs)の抑制機能を増強し、臓器移植患者や自己免疫疾患患者において有用である。しかし、各HDACに対して異なる機構が関与しているのか、あるいは複数のHDACの併用阻害がより有効なのかどうかは不明である。そこでわれわれは、野生型C57BL/6マウス由来のTregsと、様々なHDACを完全または細胞特異的に欠失させたマウス由来のTregsの抑制機能を比較し、さらにアイソフォーム選択的なHDAC阻害薬で処理したTregsの抑制機能とも比較した。HDAC6阻害が媒介するTregs抑制機能の改善のためには、正常な熱ショック応答が必要であったが、Sirt1阻害が介する改善には熱ショック応答は不要であった。HDAC6、HDAC9およびSirt1はすべてFoxp3を脱アセチル化したが、Foxp3をコードする遺伝子の発現を制御する転写因子に対する作用は、各タンパク質で異なっていた。たとえば、HDAC9の欠失は、シグナル伝達性転写因子5(STAT5)のアセチル化型の安定化に関連し、その転写活性を促進したが、その他のHDACの欠失にはそのような作用はなかった。このように、異なるHDACを標的としたとき、複数の相加的な機構を介してTregs機能が増強された。このことは、自己免疫疾患と臓器移植の管理において、HDAC阻害薬の併用が治療的に有効である可能性を示唆する。

U. H. Beier, L. Wang, R. Han, T. Akimova, Y. Liu, W. W. Hancock, Histone Deacetylases 6 and 9 and Sirtuin-1 Control Foxp3+ Regulatory T Cell Function Through Shared and Isoform-Specific Mechanisms. Sci. Signal. 5, ra45 (2012).

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