- ホーム
- GPRC5Bは脂肪細胞において肥満に関連する炎症性シグナル伝達を活性化する
GPRC5Bは脂肪細胞において肥満に関連する炎症性シグナル伝達を活性化する
GPRC5B Activates Obesity-Associated Inflammatory Signaling in Adipocytes
Sci. Signal., 20 November 2012
Vol. 5, Issue 251, p. ra85
[DOI: 10.1126/scisignal.2003149]
Yeon-Jeong Kim, Takamitsu Sano, Takuji Nabetani, Yoshimi Asano, and Yoshio Hirabayashi*
Laboratory for Molecular Membrane Neuroscience, RIKEN Brain Science Institute, Hirosawa 2-1, Wako-shi, Saitama 351-0198, Japan.
* To whom correspondence should be addressed. E-mail: hirabaya@riken.jp
要約:ゲノムワイド相関解析によって、体格指数(body mass index:BMI)とヒトGPRC5B遺伝子上流の21kbのコピー数多型の存在とのあいだに強い相関が同定された。しかし、肥満におけるGPRC5Bの機能上の役割は不明のままである。われわれは、GPRC5B欠損マウスが白色脂肪組織の炎症の減少によって食餌誘導性肥満とインスリン抵抗性から保護されたことを報告する。GPRC5Bは、脂質ラフトに関連する膜貫通タンパク質であり、カルボキシル末端に複数のリン酸化残基を含む。チロシンキナーゼFynによるGPRC5Bのリン酸化と、その後のFyn Src相同性2(SH2)ドメインを通じたFynとの直接的な相互作用は、脂肪組織における炎症性シグナル伝達の開始と進行に不可欠であった。われわれは、Fynの直接結合部位を欠失させたGPRC5B変異体が、核因子κB-κB阻害因子キナーゼεシグナル伝達のポジティブフィードバックループを活性化できないことを示した。これらの知見は、GPRC5Bが食餌誘導性肥満から2型糖尿病へとつながる脂質シグナル伝達系の主要なノードであるかもしれないことを示唆しており、糖尿病の進行に対する治療アプローチに新たな道を開くかもしれない。
Y.-J. Kim, T. Sano, T. Nabetani, Y. Asano, Y. Hirabayashi, GPRC5B Activates Obesity-Associated Inflammatory Signaling in Adipocytes. Sci. Signal. 5, ra85 (2012).