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燃料代謝およびエネルギー恒常性の調節におけるインスリン、脂肪細胞ホルモン、栄養物質感知経路の役割:糖尿病、肥満、がんの栄養学的展望

Role of Insulin, Adipocyte Hormones, and Nutrient-Sensing Pathways in Regulating Fuel Metabolism and Energy Homeostasis: A Nutritional Perspective of Diabetes, Obesity, and Cancer

Reviews

Sci. STKE,Vol. 2006, Issue 346, pp. re7, 1 August 2006
[DOI: 10.1126/stke.3462006re7]

Stephen Marshall*

Hexos Inc., 18304 NE 153rd Street, Woodinville, WA 98072, USA.
Corresponding author. E-mail, hexos06@comcast.net

要約 : 伝統的に、グルコースやアミノ酸といった栄養物質は、高エネルギー分子の産生のための基質や高分子の生合成のための前駆体として考えられてきた。しかし、栄養物質が機能的に多様なシグナル伝達経路においてシグナル伝達分子としても機能することが今では明らかである。グルコースとアミノ酸は、燃料・エネルギー代謝の様々な面を調節し、細胞の成長、増殖、生存を制御するシグナル伝達カスケードを始動させる。今回我々は、3つのよく確立された栄養シグナル伝達経路である、ヘキソサミンシグナル伝達経路、mTOR(mammalian target of rapamycin、哺乳類のラパマイシン標的タンパク質)シグナル伝達経路、アデノシン1リン酸活性化型プロテインキナーゼ(adenosine monophosphate-activated protein kinase:AMPK)シグナル伝達経路の機能および調節について概説する。栄養シグナル伝達経路は、相互に連携し、インスリンシグナル伝達と共役し、脂肪組織からの代謝ホルモンの放出と関連している。このように、栄養シグナル伝達経路は単独で機能することはない.むしろ、燃料・エネルギー代謝を制御し(細胞、組織、体全体のレベルで)、栄養物質の利用可能性を細胞の成長および増殖と結び付ける、より大規模な「代謝制御ネットワーク」の構成要素として働くと考えられる。栄養物質の多様な役割について理解し、栄養シグナル伝達経路の輪郭を描くことは、創薬研究ならびに糖尿病、肥満、がんなどの様々なヒト疾患を予防および治療するための新規治療化合物の探索を促進するであろう。

S. Marshall, Role of Insulin, Adipocyte Hormones, and Nutrient-Sensing Pathways in Regulating Fuel Metabolism and Energy Homeostasis: A Nutritional Perspective of Diabetes, Obesity, and Cancer. Sci. STKE 2006, re7 (2006).

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