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細胞シグナル伝達における組織メタロプロテアーゼ阻害物質:メタロプロテアーゼ非依存性の生物活性

Tissue Inhibitors of Metalloproteinases in Cell Signaling: Metalloproteinase-Independent Biological Activities

Reviews

Sci. Signal., 8 July 2008
Vol. 1, Issue 27, p. re6
[DOI: 10.1126/scisignal.127re6]

William G. Stetler-Stevenson*

Chief, Extracellular Matrix Pathology Section, Cell and Cancer Biology Branch, Vascular Biology Faculty, Center for Cancer Research, National Cancer Institute (NCI), NIH, Advanced Technology Center, 8717 Grovemont Circle, Room 115, Bethesda, MD 20892-4605, USA.
*E-mail: sstevenw@mail.nih.gov

要約 : 過去20年以上にわたり、組織メタロプロテアーゼ阻害物質(TIMP)は細胞の増殖とアポトーシスを直接制御していると考えられてきた。しかし、これらの作用の機序については議論の余地があった。いくつかの研究室で行なわれた最近の研究により、特異的なシグナル伝達経路と、細胞表面でTIMPファミリーメンバーと結合するパートナーが確認された。TIMP-2がインテグリンα1β1と結合するという報告は、TIMPファミリーメンバーの細胞表面受容体について記述した最初の報告である。TIMP-2が遺伝子発現を誘導し、G1細胞周期停止を促進し、細胞遊走を阻害することもこれまでに示されてきた。一方、TIMP-1がCD63に結合すると、細胞の増殖とアポトーシスが阻害される。これらの新しい知見から、TIMPは多機能性であること、また、細胞表面受容体を介した直接作用またはプロテアーゼ活性の調節を介した間接作用のいずれかにより、細胞運命の方向づけを行っている可能性があることが示唆された。これを受けて、作用機序という前後の脈絡の中でTIMPが果たす機能は組織の微小環境に左右される、という新たな概念が提起されている。

W. G. Stetler-Stevenson, Tissue Inhibitors of Metalloproteinases in Cell Signaling: Metalloproteinase-Independent Biological Activities. Sci. Signal. 1, re6 (2008).

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