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免疫、代謝、血管新生、および行動に関与するスカベンジャー受容体CD36

CD36, a Scavenger Receptor Involved in Immunity, Metabolism, Angiogenesis, and Behavior

Reviews

Sci. Signal., 26 May 2009
Vol. 2, Issue 72, p. re3
[DOI: 10.1126/scisignal.272re3]

Roy L. Silverstein* and Maria Febbraio

Department of Cell Biology, Lerner Research Institute, Cleveland Clinic Foundation and Department of Molecular Medicine, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine, Case Western Reserve University, Cleveland, OH 44195, USA.
* Corresponding author. E-mail, silverr2@ccf.org

要約 : CD36は、血小板、単核食細胞、脂肪細胞、肝細胞、筋細胞、および一部の上皮に存在する膜糖タンパク質である。毛細血管内皮細胞では、CD36はトロンボスポンジン1およびそれに関連タンパク質の受容体となり、血管新生の負の調節因子として機能する。食細胞では、CD36は特定の酸化リン脂質や酸化リポタンパク質を認識するスカベンジャー受容体として機能することにより、アポトーシス細胞、特定の細菌病原体や真菌病原体、および修飾低密度リポタンパク質の細胞内移行に関与し、それによって炎症応答およびアテローム血栓症に寄与する。また、CD36は長鎖脂肪酸にも結合し、長鎖脂肪酸の細胞内への輸送を促進することによって、筋肉の脂肪利用、脂肪組織のエネルギー貯蔵、および腸管の脂肪吸収に関与するとともに、おそらくは糖尿病や肥満などの代謝疾患の発病にも寄与している。感覚細胞では、CD36は昆虫のフェロモンシグナル伝達やげっ歯類の高脂肪食嗜好性に関与する。CD36の下流のシグナル伝達経路には、非受容体型チロシンキナーゼ、特異的なマイトジェン活性化プロテインキナーゼ、およびVavファミリーのグアニンヌクレオチド交換因子のリガンド依存型リクルートメントと活性化、接着斑の構成要素の調節、および細胞内での活性酸素種の産生が関与する。多くの細胞において、CD36はコレステロールを豊富に含む特殊な膜マイクロドメインに局在しており、テトラスパニンやインテグリンなどの他の膜受容体と相互作用している可能性もある。特定のリガンドに対する応答として誘発される、特定の細胞におけるCD36シグナル伝達経路の詳細を明らかにすることができれば、薬物開発のための新たな標的がもたらされるだろう。

R. L. Silverstein, M. Febbraio, CD36, a Scavenger Receptor Involved in Immunity, Metabolism, Angiogenesis, and Behavior. Sci. Signal. 2, re3 (2009).

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