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アルツハイマー病におけるGタンパク質共役受容体とコリン作動性機能障害とAβ毒性

G Protein-Coupled Receptors, Cholinergic Dysfunction, and Aβ Toxicity in Alzheimer’s Disease

Reviews

Sci. Signal., 20 October 2009
Vol. 2, Issue 93, p. re8
[DOI: 10.1126/scisignal.293re8]

Amantha Thathiah* and Bart De Strooper*

* Corresponding authors. E-mail, bart.destrooper@med.kuleuven.be

要約 : βアミロイド(Aβ)ペプチドは、アルツハイマー病(AD)の発症に関連する。過去20年間にわたって集められた科学的根拠は、可溶性および不溶性のAβペプチド種が蓄積することによって、ADの臨床症状の発現へと至る一連のイベントが誘導されることを示している。また、Aβの蓄積は、ADにみられるコリン作動性機能障害にも関連する。コリン作動性機能障害はアセチルコリンの放出減少、およびムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)とヘテロ三量体GTP結合タンパク質(Gタンパク質)の共役障害を特徴とする。Aβを介する毒性の機構は明確にはわかっていないが、Aβの蓄積がアンジオテンシンII(AngII)のAT2(アンジオテンシン2型)受容体のオリゴマー化とGタンパク質のGαq/11ファミリーの隔離に対する作用を示唆する証拠がある。ADトランスジェニックモデルマウスでは、Gαq/11の隔離によって、M1 mAChRとGαq/11の間の共役およびシグナル伝達が損なわれ、神経変性、タウリン酸化、ニューロン消失を伴う。これらの結果をまとめると、Aβ毒性、AT2受容体のオリゴマー化、M1 mAChRとGαq/11を介するシグナル伝達経路の崩壊の間に何らかの関連が予想され、ADでみられるコリン作動性欠損に関するわれわれの理解に寄与する可能性がある。

A. Thathiah, B. De Strooper, G Protein-Coupled Receptors, Cholinergic Dysfunction, and Aβ Toxicity in Alzheimer’s Disease. Sci. Signal. 2, re8 (2009).

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