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ABLチロシンキナーゼ:機能、調節、および特異性の進化
ABL Tyrosine Kinases: Evolution of Function, Regulation, and Specificity
Sci. Signal., 14 September 2010
Vol. 3, Issue 139, p. re6
[DOI: 10.1126/scisignal.3139re6]
John Colicelli*
Department of Biological Chemistry, Molecular Biology Institute and Jonsson Comprehensive Cancer Center, David Geffen School of Medicine at UCLA, Los Angeles, CA 90095, USA.
* Corresponding author. Telephone, 310-825-1251 310-825-1251 ; fax, 310-206-1929; e-mail, colicelli@mednet.ucla.edu
要約:ABLファミリーのタンパク質は、もっとも良く保存されたチロシンキナーゼ群のひとつである。各ABLタ ンパク質は、SH3-SH2-TK(Src相同性3-Src相同性2-チロシンキナーゼ)ドメインカセットを含む。このカセットは、自己調節性のキナーゼ 活性を与えるものであり、非受容体型チロシンキナーゼによくみられる。このカセットは、アクチンに結合して束化させるドメインと共役しており、これによっ て、ABLタンパク質は自己のリン酸化調節とアクチンフィラメントの再編成を結びつけることができる。脊椎動物の2つのパラログ(ABL1とABL2) は、特殊な機能を果たすように進化してきた。ABL1は、核局在化シグナル、およびDNA損傷修復機能を媒介するDNA結合ドメインを含む。一方、 ABL2は、さらに細胞骨格再編成機能を高めるための、アクチンおよび微小管に対する結合能を有する。いくつかのタイプの翻訳後修飾が、ABLの触媒活 性、細胞内の局在化、および安定性を調節し、細胞質と核の両方でのABLの機能に影響を与える。結合相手は、ABL触媒活性、基質特異性、下流シグナル伝 達をさらに調節する。BCR-ABL1および関連する白血病誘発性タンパク質が引き起こす造血器腫瘍に対する新たな治療戦略を得るために、ABL調節機構 に関する情報が探られている。
J. Colicelli, ABL Tyrosine Kinases: Evolution of Function, Regulation, and Specificity. Sci. Signal. 3, re6 (2010).