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骨格形成における線維芽細胞増殖因子受容体のシグナル伝達クロストーク

Fibroblast Growth Factor Receptor Signaling Crosstalk in Skeletogenesis

Reviews

Sci. Signal., 2 November 2010
Vol. 3, Issue 146, p. re9
[DOI: 10.1126/scisignal.3146re9]

Hichem Miraoui1,2 and Pierre J. Marie1*

1 Laboratory of Osteoblast Biology and Pathology, INSERM UMR606 and University Paris Diderot, Paris 75475, Cedex 10, France.
2 Harvard Reproductive Endocrine Sciences Center and Reproductive Endocrine Unit, Department of Internal Medicine, Massachusetts General Hospital, Boston, MA 02114, USA.

* Corresponding author. INSERM U606, Hopital Lariboisiere, 2 rue Ambroise Pare, 75475 Paris cedex 10, France. E-mail: pierre.marie@inserm.fr

要約:線維芽細胞増殖因子(FGF)は、FGF受容体(FGFR)を介するシグナル伝達活性化によって、胚発生 および生後の骨格系の発生の制御において重要な役割を果たす。生殖系列細胞におけるFGFRの機能獲得突然変異はFGFRシグナル伝達を恒常的に活性化 し、骨格異形成に至る軟骨細胞や骨芽細胞の機能不全を引き起こす。FGFR経路と他のシグナル伝達カスケードのクロストークが骨格系前駆細胞の分化を制御 する。遺伝学的解析の結果、マウスの頭蓋顔面骨格形成の過程でWNTとFGFR1の相互作用が間葉系幹細胞の運命および分化を決定することが判明した。さ らに、FGFRシグナル伝達と上皮増殖因子受容体や血小板由来増殖因子受容体αなどによって媒介される他のチロシンキナーゼのネットワークとの相互作用 が、頭蓋骨癒合症と呼ばれる頭蓋骨成長障害であるヒト骨格異形成における過剰な骨芽細胞分化および骨形成と相関していた。本稿では、FGFRシグナル伝 達、およびこのシグナル伝達と他の経路とのクロストークが骨格系細胞運命の制御において果たす役割について検討し、このクロストークを薬理学的標的とし て、異常なFGFRシグナル伝達によって生じる骨格異形成における異常細胞表現型を矯正する方法について考察する。

H. Miraoui, P. J. Marie, Fibroblast Growth Factor Receptor Signaling Crosstalk in Skeletogenesis. Sci. Signal. 3, re9 (2010).

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