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ヘッジホッグシグナル伝達ネットワーク
The Hedgehog Signal Transduction Network
Sci. Signal., 16 October 2012
Vol. 5, Issue 246, p. re6
[DOI: 10.1126/scisignal.2002906]
David J. Robbins1,2,3*, Dennis Liang Fei1, and Natalia A. Riobo4*
1 Molecular Oncology Program, Department of Surgery, Miller School of Medicine, University of Miami, Miami, FL 33136, USA.
2 Sylvester Cancer Center, Miller School of Medicine, University of Miami, Miami, FL 33136, USA.
3 Department of Biochemistry and Molecular Biology, Miller School of Medicine, University of Miami, Miami, FL 33136, USA.
4 Department of Biochemistry and Molecular Biology and Kimmel Cancer Center, Thomas Jefferson University, Philadelphia, PA 19107, USA.
* To whom correspondence should be addressed. E-mail: drobbins@med.miami.edu (D.J.R.); natalia.riobo@jefferson.edu (N.A.R.)
要約:ヘッジホッグ(Hedgehog:Hh)タンパク質は、広範な後生動物の胚および成体の構造の発達を調節しており、Hhシグナル伝達経路の阻害は、多様なヒト疾患を引き起こす。本稿では、Hhによって調節されるシグナル伝達経路について包括的にレビューし、さまざまな科学的学問分野で多種多様な生物から得られたデータを集約する。他の多くのシグナル伝達経路の解明と同様に、Hhシグナル伝達に関するわれわれの知識は、最初の発見を中心に据えた逐次的方法で発達した。そのため、Hhシグナル伝達に関するわれわれの知識は、ほとんどの部分に関してHhによってGliファミリー転写因子が調節される機構、いわゆる「標準的」Hhシグナル伝達経路の解明に重点を置いている。しかし、ここ数年のうちに、Hhタンパク質はGliに依存しない機構を介してシグナルを伝達することもできることが多数の研究で示され、「非標準的」Hhシグナル伝達経路と総称されている。非標準的Hhシグナル伝達は、それ自体が(i)スムーズンド(Smoothened:Smo)を必要としないモジュールと、(ii)Gli転写因子を必要としないSmoの下流モジュールという2つの異なるシグナル伝達モジュールに細分される。このように、現在では、Hhシグナル伝達は、互いにクロストークし、相互に作用しあう動的なHhシグナル伝達ネットワークを形成することが可能な状況依存的な多様なシグナル伝達モジュールを通じて発生することが提唱されている。
D. J. Robbins, D. L. Fei, N. A. Riobo, The Hedgehog Signal Transduction Network. Sci. Signal. 5, re6 (2012).