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In vivoリン酸化プロテオミクス解析によりβ-アドレナリン作動性受容体シグナル伝達の心臓の標的を解明

In Vivo Phosphoproteomics Analysis Reveals the Cardiac Targets of β-Adrenergic Receptor Signaling

Research Resources

Sci. Signal., 4 June 2013
Vol. 6, Issue 278, p. rs11
[DOI: 10.1126/scisignal.2003506]

Alicia Lundby1,2,3*, Martin N. Andersen3, Annette B. Steffensen3, Heiko Horn1, Christian D. Kelstrup1, Chiara Francavilla1, Lars J. Jensen1, Nicole Schmitt3, Morten B. Thomsen3, and Jesper V. Olsen1*

1 Novo Nordisk Foundation Center for Protein Research, Faculty of Health and Medical Sciences, University of Copenhagen, Blegdamsvej 3b, DK-2200 Copenhagen, Denmark.
2 The Broad Institute of MIT and Harvard, Cambridge, MA 02142, USA.
3 The Danish National Research Foundation Centre for Cardiac Arrhythmia, DK-2200 Copenhagen N, Denmark.

* Corresponding author. E-mail: alicia.lundby@cpr.ku.dk (A.L.); jesper.olsen@cpr.ku.dk (J.V.O.)

要約:β遮断薬はβ-アドレナリン作動性受容体(βAR)を阻害し、それにより収縮性と心拍数を低下させることで、心臓不整脈の予防および高血圧の治療に広く使用されている。βARはリン酸化依存性シグナル伝達カスケードを開始させるが、知られている標的タンパク質は少数に過ぎない。われわれは定量的in vivoリン酸化プロテオミクスを用い、特異的βARアゴニストによる急性投与に応答する、マウス心臓の670ヵ所の部位特異的リン酸化変化を同定した。調節されるリン酸化部位に隣接した残基は、配列特異的な選択性を示していた(R-X-X-pS/T)。また、配列モチーフと相互作用ネットワークの統合解析から、PKA(環状アデノシン一リン酸‐依存性プロテインキナーゼ)およびCaMKII(カルシウム/カルモデュリン依存性プロテインキナーゼII)が介する十分に確立されている経路のほか、キナーゼAMPK(アデノシン5'-一リン酸活性化プロテインキナーゼ)、Akt、およびmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)がβARシグナル伝達を介していることが示唆された。さらに、高い心拍数でのイオン流亢進を媒介する、6つのイオンチャネルとトランスポーターのリン酸化部位が、特異的に調節されていることを見いだした。また、これらの1つであるカリウムチャネルKV7.1のSer92がリン酸化されると、電流振幅が増加することを明らかにした。われわれのデータセットは、7回膜貫通型受容体の刺激時にリン酸化タンパク質がin vivoで調節されるという定量的解析結果であり、われわれの知見は、これまでに知られていなかった心筋収縮性を調節するリン酸化部位を明らかにした。このことは、心疾患および高血圧の新たな治療標的の可能性を示唆している。

A. Lundby, M. N. Andersen, A. B. Steffensen, H. Horn, C. D. Kelstrup, C. Francavilla, L. J. Jensen, N. Schmitt, M. B. Thomsen, J. V. Olsen, In Vivo Phosphoproteomics Analysis Reveals the Cardiac Targets of β-Adrenergic Receptor Signaling. Sci. Signal. 6, rs11 (2013).

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