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ディープシークエンシングおよび高解像度イメージングにより海馬ニューロンにおけるBdnf mRNAの区画特異的局在が明らかになる

Deep Sequencing and High-Resolution Imaging Reveal Compartment-Specific Localization of Bdnf mRNA in Hippocampal Neurons

Research Resources

Sci. Signal., 17 December 2013
Vol. 6, Issue 306, p. rs16
[DOI: 10.1126/scisignal.2004520]

Tristan J. Will, Georgi Tushev, Lisa Kochen, Belquis Nassim-Assir, Ivan J. Cajigas, Susanne tom Dieck, and Erin M. Schuman*

Department of Synaptic Plasticity, Max Planck Institute for Brain Research, Max von Laue Strasse 4, 60438 Frankfurt, Germany.

* Corresponding author. E-mail: erin.schuman@brain.mpg.de

要約

脳由来神経栄養因子(BDNF)は様々な脳機能を制御するニューロトロフィンファミリーの低分子量タンパク質である。どのようにその転写が制御されているかはよく知られているが、内在性BDNF mRNAの存在量およびその細胞内局在様式に関しては議論の余地がある。われわれは、ラット海馬を材料に次世代シークエンシングおよび高解像度in situハイブリダイゼーション法を用い、この問題を再検討した。われわれは、ラットの海馬切片において3'末端シークエンシングを行い、長短の3'非翻訳領域(3'UTR)をもつ2つのBdnfアイソフォームを検出した。Bdnf転写産物のほとんどは短い3'UTRアイソフォームをもち、他の神経細胞転写産物と比較して存在量は低かった。Bdnf mRNAはラット海馬切片の細胞体区画あるいは培養ラット海馬ニューロンの細胞体に存在したが、樹状突起にはほとんど検出されなかった。海馬ニューロンの薬理学的刺激はBdnfの発現を誘導したが、Bdnfアイソフォームの存在比は変化させなかった。これらの発見は、内在性のBdnf mRNAは、その存在量は少ないが、主に海馬ニューロンの細胞体区画に局在することを示している。Bdnf mRNAの両アイソフォームは、他の神経細胞mRNAと比べて短い半減期をもつ。さらに、これらの発見は、相補的な高解像度技術が内在性転写産物存在量の高感度計測を可能にすることを示すものである。

T. J. Will, G. Tushev, L. Kochen, B. Nassim-Assir, I. J. Cajigas, S. tom Dieck, E. M. Schuman, Deep Sequencing and High-Resolution Imaging Reveal Compartment-Specific Localization of Bdnf mRNA in Hippocampal Neurons. Sci. Signal. 6, rs16 (2013).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2013年12月17日号

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