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細菌のリン酸化プロテオームの系統的プロファイリングによって細菌特異的なリン酸化の特徴を明らかにする

Systematic profiling of the bacterial phosphoproteome reveals bacterium-specific features of phosphorylation

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Sci. Signal. 15 Sep 2015:
Vol. 8, Issue 394, pp. rs10
DOI: 10.1126/scisignal.aaa3117

Miao-Hsia Lin, Naoyuki Sugiyama, Yasushi Ishihama*

Department of Molecular and Cellular Bioanalysis, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University, Kyoto 606-8501, Japan.

* Corresponding author. E-mail: yishiham@pharm.kyoto-u.ac.jp

要約 タンパク質リン酸化は、細菌において細胞過程を調節するためにきわめて重要な翻訳後修飾である。しかし、リン酸化ペプチドの濃縮は技術的に困難であるため、あまり広範には研究されていない。われわれは、単一の細菌サンプルから1,000を超えるリン酸化ペプチドを同定することが可能な、濃縮手順を考案した。3種類の細菌のリン酸化プロテオームから、高信頼度のセリン/スレオニンリン酸化モチーフ3個と、信頼度がさまざまなその他のモチーフ29個を発見した。真核生物において通常は濃縮されているプロリン指向性リン酸化モチーフや塩基性リン酸化モチーフが、細菌には認められないことがわかった。真核生物と異なり、細菌では、N末端のリン酸化ペプチドでリン酸化とアセチル化の両方が発生する割合が低かった。細菌性病原体による宿主細胞の感染は、キナーゼ介在性リン酸化事象を伴う場合が多いため、この研究で明らかになった細菌と真核生物のリン酸化選択性の違いは、今後の治療のための細菌特異的な標的の同定に有用となる可能性がある。

Citation: M.-H. Lin, N. Sugiyama, Y. Ishihama, Systematic profiling of the bacterial phosphoproteome reveals bacterium-specific features of phosphorylation. Sci. Signal. 8, rs10 (2015).

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