• ホーム
  • 有糸分裂細胞におけるプロテインホスファターゼPP6の新たな役割を定量的リン酸化プロテオミクスにより解明

有糸分裂細胞におけるプロテインホスファターゼPP6の新たな役割を定量的リン酸化プロテオミクスにより解明

Quantitative phosphoproteomics reveals new roles for the protein phosphatase PP6 in mitotic cells

Research Resources

Sci. Signal. 13 Oct 2015:
Vol. 8, Issue 398, pp. rs12
DOI: 10.1126/scisignal.aab3138

Scott F. Rusin1, Kate A. Schlosser2, Mark E. Adamo2, and Arminja N. Kettenbach1,2,*

1 Department of Biochemistry, Geisel School of Medicine at Dartmouth, Hanover, NH 03755, USA.
2 Norris Cotton Cancer Center, Geisel School of Medicine at Dartmouth, Lebanon, NH 03756, USA.

* Corresponding author. E-mail: arminja.n.kettenbach@dartmouth.edu

要約 タンパク質のリン酸化は、有糸分裂の進行を制御する重要な調節機構である。プロテインホスファターゼ6(PP6)は、酵母からヒトまで保存されている、染色体分離および紡錘体形成に働く必須の酵素である。われわれは、Hela細胞からPP6の触媒サブユニット(PP6c)を除去するためバキュロウイルスを介した遺伝子サイレンシングアプローチを応用し、定量的質量分析に基づくプロテオミクスにより、有糸分裂細胞におけるリン酸化プロテオームおよびプロテオームの変化を分析した。われわれは、有糸分裂細胞のPP6c除去によりリン酸化が増加する408のリン酸化ペプチドを272のタンパク質上に、並びにリン酸化が減少する298のリン酸化ペプチドを220のタンパク質上に同定した。リン酸化部位のモチーフ解析とバイオインフォマティクスによるパスウェイ解析を組み合わせ、これまで未知であったPP6c依存性の調節経路を解明した。生化学的アッセイにより、PP6cはコンデンシンIサブユニットNCAP-Gのカゼインキナーゼ2依存性リン酸化と拮抗することが示され、さらに細胞解析から、PP6cの欠失により細胞分裂後期の染色体の凝縮および分離に異常をきたすことが示された。これは、PP6活性の非存在下における、コンデンシンIの機能の調節障害と一致している。

Citation: S. F. Rusin, K. A. Schlosser, M. E. Adamo, A. N. Kettenbach, Quantitative phosphoproteomics reveals new roles for the protein phosphatase PP6 in mitotic cells. Sci. Signal. 8, rs12 (2015).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2015年10月13日号

Editor's Choice

がん
EGFRは独自の防御を展開する

Research Article

ゴルジ体はβ1-アドレナリン作動性シグナル伝達経路のPKAおよびEpac支流により調節される機能的に異なるCa2+ストアである

T細胞活性化の先行シグナル:NAADPおよび1型リアノジン受容体によって媒介される最初の局所Ca2+シグナル

Research Resources

有糸分裂細胞におけるプロテインホスファターゼPP6の新たな役割を定量的リン酸化プロテオミクスにより解明

最新のResearch Resources記事

2024年2月27日号

乳がん細胞のマルチオミクス・プロファイリングから、AKT分解へのストレスMAPKと関連した感受性が明らかに

2024年1月16日号

二重特異性抗体による基質とユビキチン修飾の同時認識によりユビキチン化されたRIP1およびRIP2の検出が可能に

2023年12月12日号

NRFファミリーの近接プロテオミクス解析によりNRF2の共複合リプレッサーとしてのパーキンソン病タンパク質ZNF746/PARISを解明

2023年8月1日号

細胞膜から核までの時空間Notch相互作用マップ

2023年2月28日号

直交性タンパク質間相互作用のデータ駆動型デザイン