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DNA損傷後における核内リン酸化プロテオームのATM依存的および非依存的なダイナミクス

ATM-Dependent and - Independent Dynamics of the Nuclear Phosphoproteome After DNA Damage

Research Resources

Sci. Signal., 7 December 2010
Vol. 3, Issue 151, p. rs3
[DOI: 10.1126/scisignal.2001034]

Ariel Bensimon1*†, Alexander Schmidt2,3*, Yael Ziv1, Ran Elkon4, Shih-Ya Wang5, David J. Chen5, Ruedi Aebersold2,6,7‡, and Yosef Shiloh1‡

1 David and Inez Myers Laboratory for Cancer Genetics, Department of Human Molecular Genetics and Biochemistry, Sackler School of Medicine, Tel Aviv University, Tel Aviv 69978, Israel.
2 Institute of Molecular Systems Biology, Eidgenossische Technische Hochschule Zurich, Zurich 8093, Switzerland.
3 Biozentrum, University of Basel, Basel 4056, Switzerland.
4 Division of Gene Regulation, Netherlands Cancer Institute, Plesmanlaan 121, 1066 CX, Amsterdam, Netherlands.
5 Division of Molecular Radiation Biology, Department of Radiation Oncology, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, TX 75390-9187, USA.
6 Competence Center for Systems Physiology and Metabolic Diseases, Eidgenossische Technische Hochschule Zurich, Zurich 8093, Switzerland.
7 Faculty of Science, University of Zurich, Zurich 8057, Switzerland.

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Institute of Molecular Systems Biology, Eidgenossische Technische Hochschule Zurich, Zurich 8093, Switzerland.

‡ To whom correspondence should be addressed. E-mail: yossih@post.tau.ac.il (Y.S.); rudolf.aebersold@imsb.biol.ethz.ch (R.A.)

要約:二本鎖切断(DSB)は、酸素ラジカル、電離放射線、放射線類似化学物質によって引き起こされる細胞障害 性のDNA損傷である。細胞は、損傷の修復と細胞の生存、あるいはプログラム細胞死のいずれかに導くDNA損傷応答(DDR)を活性化することによって、 DNA損傷に対処する。DSB応答の主な伝達因子は、核内プロテインキナーゼataxia telangiectasia mutated(ATM)である。われわれは、無標識定量的質量分析を用いて、放射線類似処理後のヒトメラノーマ細胞G361の核分画において、DSBが 誘導するリン酸化プロテオームの動態を追跡した。その結果、この動態は複雑であり、リン酸化イベントと脱リン酸化イベントの両方が含まれることを発見し た。今まで知られていなかったATM依存的なリン酸化および脱リン酸化イベントが同定されたことに加えて、DSB誘導性リン酸化の約40%がATM非依存 的であり、複数の他のキナーゼが関与している可能性があることが明らかになった。多くのATM依存的リン酸化を維持するためには、持続的なATM活性が必 要であった。損傷クロマチン上にATM自体がとどまる際に役割を果たすATM依存的なリン酸化部位がATM自体に同定された。リン酸化および脱リン酸化タ ンパク質の多くを機能ネットワークと結びつけることによって、細胞のいくつかの生物学的過程に関与するタンパク質の間の推定されるクロストークが浮き彫り になった。本研究から、DDRによるリン酸化状況の全貌が拡張され、今まで知られていなかったATM依存的および非依存的な分枝が同定された。これは、多 くのDDR経路の調整に関与する細胞応答の幅および複雑さに対する洞察をもたらすものであり、細胞の恒常性維持にゲノムの安定性が非常に重要であることと 一致している。

A. Bensimon, A. Schmidt, Y. Ziv, R. Elkon, S.-Y. Wang, D. J. Chen, R. Aebersold, Y. Shiloh, ATM-Dependent and -Independent Dynamics of the Nuclear Phosphoproteome After DNA Damage. Sci. Signal. 3, rs3 (2010).

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