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サルモネラ(Salmonella)感染細胞のホスホプロテオミクス解析によって、重要なキナーゼ調節因子とSopB依存性の宿主リン酸化イベントが同定される

Phosphoproteomic Analysis of Salmonella-Infected Cells Identifies Key Kinase Regulators and SopB-Dependent Host Phosphorylation Events

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Sci. Signal., 20 September 2011
Vol. 4, Issue 191, p. rs9
[DOI: 10.1126/scisignal.2001668]

Lindsay D. Rogers1, Nat F. Brown2, Yuan Fang1, Steven Pelech3,4, and Leonard J. Foster1*

1 Centre for High-Throughput Biology and Department of Biochemistry, University of British Columbia, Vancouver, British Columbia V6T 1Z4, Canada.
2 Department of Microbiology and Immunology, University of Melbourne, Melbourne, Victoria 3010, Australia.
3 Department of Medicine, University of British Columbia, Vancouver, British Columbia V5Z 1M9, Canada.
4 Kinexus Bioinformatics Corporation, Suite 1, 8755 Ash Street, Vancouver, British Columbia V6P 6T3, Canada.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: foster@chibi.ubc.ca

要約:サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica) は、胃腸炎および腸チフスの原因となる細菌性病原体である。その病原性は、宿主細胞内にエフェクタータンパク質(宿主細胞内で宿主タンパク質の機能を模倣 したり遮断したりする)を導入する2つのIII型分泌系によって達成される。第一のIII型分泌系によって宿主細胞内に導入されたエフェクターは、侵入を 促進し、炎症を引き起こす細胞内シグナル伝達カスケードを活性化する。今回われわれは、サルモネラ感染の初期段階に誘導される宿主のシグナル伝達イベント の包括的な経時的解析を行ない、増殖因子によって刺激されるシグナル伝達と細菌によって誘導されるシグナル伝達の相違だけでなく、宿主タンパク質のリン酸 化動態を確認した。インフォマティクス解析から、感染細胞においてリン酸化が変化する部位は、セリン-トレオニンキナーゼのAkt、プロテインキナーゼ C、およびPimの標的となること、およびサルモネラ感染後に検出される宿主細胞のリン酸化イベントのうちの半分までもがエフェクタータンパク質の SopBを必要とすることが予測された。われわれのデータによって、サルモネラのこのエフェクターによって宿主のリン酸化カスケードが大規模に操作される ことが明らかになり、腸におけるサルモネラの増殖を可能にするきわめて重要な宿主応答である腸の炎症をもたらすイベントの詳細なマップが提供される。

A. Vinayagam, U. Stelzl, R. Foulle, S. Plassmann, M. Zenkner, J. Timm, H. E. Assmus, M. A. Andrade-Navarro, E. E. Wanker, A Directed Protein Interaction Network for Investigating Intracellular Signal Transduction. Sci. Signal. 4, rs8 (2011).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

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2011年9月20日号

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