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3色FRETにより生きたヒト細胞においてSLP-76、Nck、Vav1の多分子複合体形成のダイナミクスを研究する
Studying the Dynamics of SLP-76, Nck, and Vav1 Multimolecular Complex Formation in Live Human Cells with Triple-Color FRET
Sci. Signal., 24 April 2012
Vol. 5, Issue 221, p. rs3
[DOI: 10.1126/scisignal.2002423]
Maor H. Pauker*, Nirit Hassan*, Elad Noy, Barak Reicher, and Mira Barda-Saad†
The Mina and Everard Goodman Faculty of Life Sciences, Bar-Ilan University, Ramat-Gan 52900, Israel.
* These authors contributed equally to this work.
To whom correspondence should be addressed. E-mail: Mira.Barda-Saad@biu.ac.il
要約:タンパク質間相互作用は、数多くの細胞機能を調節し制御する。アダプタータンパク質SLP-76(76kDのSrcホモロジー2ドメイン含有白血球タンパク質)、Nck、グアニンヌクレオチド交換因子Vav1から成る多分子複合体は、初期のT細胞活性化時に、抗原提示細胞との界面のT細胞側に動員される。この複合体は、T細胞のアクチン装置、抗原認識、シグナル伝達の調節にきわめて重要である。われわれは、これらのタンパク質間の相互作用と、細胞骨格再編成を制御する複合体へのこれらのタンパク質の動員のダイナミクスを検討した。生きたヒトT細胞において、この3分子シグナル伝達複合体の形成のダイナミクスを観察し、3つの分子間相互作用を同時に追跡するために、3色Förster共鳴エネルギー移動(3FRET)系を構築した。この3FRET系を用いて、NckとVav1の二量体が、T細胞活性化またはSLP-76とNckの結合のどちらとも関係なく、恒常的に形成されることを示した。T細胞受容体の刺激後、SLP-76がリン酸化され、Nckの結合が可能になった。Nckとの結合を消失させる、Vav1のプロリンリッチ部位の点変異によって、アクチン再編成が阻害されたことから、Nck-Vav1二量体がアクチン機構の調節に重要な役割を果たすことが示唆された。これらの結果をもとに、SLP-76、Nck、Vav1の複合体形成の広く認められたモデルを修正することを、われわれは提案している。また、生細胞においてシグナル伝達を研究する1つの手段として、3FRETの使用を実演する。
M. H. Pauker, N. Hassan, E. Noy, B. Reicher, M. Barda-Saad, Studying the Dynamics of SLP-76, Nck, and Vav1 Multimolecular Complex Formation in Live Human Cells with Triple-Color FRET. Sci. Signal. 5, rs3 (2012).