ウイルス抗原、がん抗原特異的なT細胞を幅広く提供 抗原特異的T細胞

抗原特異的T細胞とは

抗原特異的 T 細胞 (ASTC) は、ウイルス、細菌、腫瘍細胞に由来する特定の抗原、および自己免疫疾患の場合は正常組織に由来するペプチドによって活性化されたヒト T 細胞です。ASTC は、免疫システムの活性化や特異性の基礎研究のユニークなツールとして、また細胞療法研究における探索や、ポジティブコントロールとして利用することができます。

• 使用例：抗原特異的T細胞アッセイ

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免疫系の活性を調べるための探索ツール

Charles River Laboratories Cell Solutions社では、特定の抗原を認識する一連の活性化抗原特異的 CD4+ および CD8+ T 細胞を開発しました。T細胞は、T細胞受容体(TCR)と、免疫原性ペプチドを提示している抗原提示細胞(APC)の表面にあるMHC複合体との相互作用によって活性化されます。TCR の独特な構造により、個々の T 細胞は、自己免疫疾患の場合と同様に、ウイルス、細菌、腫瘍細胞、または正常組織に由来するペプチドの特定の配列 (抗原特異的) を認識できます。これらの活性化された抗原特異的 T 細胞の頻度は循環 T 細胞の中で非常に低いため、それらを単離して免疫応答を研究することが非常に困難になります。したがって、ASTC は、がん、感染症、自己免疫の治療法や治療法の開発研究に役立つ強力なツール期待されています。

Charles River Laboratories Cell Solutions社の抗原特異的T細胞は、最初に目的の抗原を提示するAPCでプライミングし、その後in vitroで増殖させることによって得られます。これらのASTCsは、特定のドナー由来のネイティブなTCR分子を発現しており、製造プロセス中に増殖を複数回繰り返しています。ASTC はドナーから精製/選別や、レンチウイルスによる形質導入や遺伝子組み換えも行われておらず、確立されたクローンや不死化細胞株に由来していません。

Utility of Antigen-Specific T Cells (ASTCs)

このウェビナーでは、ウイルス、細菌、腫瘍細胞、自己免疫によって引き起こされる様々な疾患に対する免疫調節療法を開発する際の抗原特異的T細胞の利用についてご紹介しています。
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ASTCsは、腫瘍特異的細胞療法製剤開発において力価評価アッセイにおいてポジティブコントロールとして使用することができます。抗原特異的 T 細胞による腫瘍細胞の殺傷活性は、細胞療法製品のさまざまなバッチ生産を測定するための基準値として使用できます。すぐに使用できる抗原特異的T細胞を大量ロットは、アッセイのバリデーション、出荷基準の設定及び品質管理のための理想的なポジティブコントロールとなり得ます。

抗原特異的 T 細胞は、細胞療法による腫瘍細胞の殺傷活性の評価に加えて、PD1 阻害剤などの免疫調節剤が腫瘍細胞の殺傷能を増強するするかどうかを試験するのにも適しています 。

生細胞イメージングベースのアッセイ (IncuCyte) を使用して、エフェクター細胞 (抗原特異的 T 細胞) と共培養された腫瘍標的細胞の殺傷能を視覚化できます。この種のアッセイでは、標的腫瘍細胞を色素又は蛍光タンパク質で標識した後、抗原特異的T細胞と共培養することにより、それらの細胞を同定し、その後ASTCの細胞毒性を定量することができます。

MART-1抗原特異的CD8+T細胞を用いた特性評価の例

抗MART-1 (26-35 ELAGIGILTV) CD8+ T細胞をネガティブコントロール四量体またはMART-1四量体のいずれかの存在下で染色して、結合特異性を評価しました。図 1 に示すように、MART-1 抗原特異的 CD8+ T 細胞はネガティブ テトラマーと結合しませんでした (左の点のプロット) のに対し、MART-1 活性化 CD8+ T 細胞の 85% は MART-1 四量体に対する特異性を示しました (右のドットプロット）。これらの MART-1 ASTC の機能的特徴は、IFN-γ 産生および MART-1 抗原刺激に応答した細胞毒性アッセイによって検証されました (図 2)。

図1:MART-1ASTCsの抗原結合特異性を示すチャート
MART-1ASTCsの抗原結合特異性HLA-A*02:01拘束性MART-1(26-35、ELAGIGILTV)抗原特異的CD8+T細胞は、陰性対照の四量体(左ドットプロット)またはMART-1(26-35、ELAGIGILTV)四量体(右パネル)のいずれかの存在下で染色された。右の点線図に示すように、MART-1活性化CD8+T細胞の約85%はMART-1(26-35、ELAGIGILTV)ペプチドとの結合に陽性である。

図2：MART-1抗原特異的CD8+T細胞の機能的特性を示すチャート
MART-1抗原特異的CD8+T細胞の機能的特徴:IFN-γの産生(左パネル)及び標的細胞の死滅(右パネル)を、MART-1ASTCs及びAPCの存在下で評価し、HLA-A*02:01拘束性MART-1ペプチド(赤色ライン)又は無関係なCMVペプチドを対照として増加させた(黒色ライン)。

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