ERストレスの検出に 小胞体ストレス検出試薬（ERAI ER Stress Detector）

小胞体ストレス因子である XBP1 タンパク質の発現制御システムを利用した、小胞体ストレス（ER Stress）検出試薬です。
プラスミドDNAを細胞にトランスフェクションしてご使用ください。

小胞体ストレスとは

細胞レベルのストレスには、低酸素ストレスなどの組織内要因で生じるストレスと、小胞体ストレスや酸化ストレスなど細胞内のストレスがあり、様々な疾患に関与することが報告されています。細胞ストレスのうち、タンパク質の製造・品質管理工場である小胞体で、不具合により生じた変性タンパク質（不良品タンパク質）が蓄積することで引き起こされるストレスが、小胞体ストレスです。過度の小胞体ストレスは細胞死を誘導し、これがアルツハイマーなどの神経変性疾患、メタボリックシンドローム、がんなどの要因になると考えられています。

ER Stress Detector（小胞体ストレス検出試薬）について

ERAI ER Stress Detector には、小胞体ストレス因子であるXBP1タンパク質の発現制御システムが利用されています。XBP1 mRNAはイントロンを含む分子として、いったん合成され、小胞体ストレスがない時には、不活性型 XBP1として不完全長のタンパク質が翻訳されます。一方、小胞体ストレス条件下では、イントロンが取り除かれ、完全長の活性型 XBP1 が翻訳されます。ERAI ER Stress Detector は、XBP1 cDNA のイントロン配列直下に、ルシフェラーゼを連結したレポーター遺伝子です。この ERAI ER Stress Detector を導入した細胞では、小胞体ストレスが入ることによりイントロン配列が除去され、XBP1 のＮ末領域とルシフェラーゼの融合タンパク質が翻訳されます。

ERAI ER Stress Detector を培養細胞に導入し、ツニカマイシン処理による ERストレスを付加します。

1. トランスフェクション前日に、細胞を 35mm 培養プレートに播種する（接着細胞の場合、 1-3x10⁵ 細胞程度が目安）。一晩の培養で、50~80%コンフルエントになるように調節する。
2. トランスフェクションにより、1.で用意した培養細胞に、ERAI ER Stress Detector を導入する。トランスフェクション法は、リン酸カルシウム共沈殿法や一般的に販売されているトランスフェクション試薬を用いた方法で行うことができる。詳細は、これらの方法とトランスフェクション試薬のマニュアルに準じる。
3. 約24〜48 時間の培養後、ルシフェラーゼアッセイのために細胞を回収する6時間前に、5μg/ml ツニカマイシンを含む新しい培地と交換する。ERストレス誘導に必要なツニカマイシンの濃度は、細胞種により異なるので、注意が必要。
4. プロメガ社のアッセイキットを用いてルシフェラーゼ活性を測定する。細胞の回収とライセートの作製方法は、キットのマニュアルに従う。

※小胞体ストレス検出試薬と小胞体ストレス検出試薬 HDの違いについては、参考論文の2.に示されています。

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