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背景

レクチンとは Goldstein 1) らにより次のように定義されています。

  • 免疫反応の産物以外の、糖結合性のタンパク質または糖タンパク質で、細胞または複合糖質を凝集するものをいう。
  • 2つ以上の結合部位を持ち、動・植物細胞を凝集することができる。
  • 凝集は、単糖またはオリゴ糖により特異的に阻止される。 一般的にレクチンとは、植物・動物・微生物等に存在するタンパク質または糖タンパク質のうち、糖に対する特異的結合活性 をもった物質の総称として用いられています。

文献
1) Goldstein,I.J.,Hughes,R.C.,Monsigny,M.,Osawa,T.,and Sharon,N.,Nature.285,66 (1980)

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レクチンの定義

1957年 O.Mäkelä が、糖のC-3、C-4位の水酸基の配位により、4郡に分類しました(表1)。第4郡に分類されるレクチンはまだ発見されておりません。最近では、レクチンの1次構造が解析され、その構造に基づく分類(ファミリーによる分類)もされています(表2)。

表1 Mäkelä の単糖認識に基づくレクチンの分類
Mäkelä の分類 起源 レクチン慣用名 糖結合特異性 マイトージェン
活性
Fuc
Fuc
ハリエニシダ UEA-I α-L-Fuc
Gal
GalNAc
Gal GalNAc
ダイズ
ピーナッツ
トウゴマ(ヒマ)
ドリコスマメ
マッシュルーム
インゲンマメ
SBA
PNA
RCA120
DBA
ABA
PHA-E
PHA-L
α-GalNAc>β-GalNAc
β-Gal
β-Gal
α-GalNAc
Galβ1-3GalNAc
GalNAc
GalNAc

±
− − +
D-Man
D-Glc
D-Man D-Glc
D-GlcNAc
タチナタマメ
エンドウマメ
レンズマメ
ソラマメ
Con A
PSA
LCA
VFA
α-Man>α-Glc
α-Man>α-Glc
α-Man>α-Glc
α-Man>α-Glc



アメリカヤマゴボウ
ジャガイモ
小麦胚芽
ハリエニシダ
PWM
STA
WGA
UEA-II
GlcNAcβ1-4GlcNAc
GlcNAcβ1-4GlcNAc
GlcNAcβ1-4GlcNAc
GlcNAcβ1-4GlcNAc
+ ±
L-Glc
L-Man
L-Glc L-Man
表2 ファミリーによるレクチンの分類(一部抜粋)
ファミリー(生物分布) 糖特異性 主なレクチン
マメ科レクチン
L-型レクチン
(植物)
Man Gal Sia Fuc DSA PHA SBA UEA-I MAM
DBA ConA ECA PSA
モノコットレクチン
M−型レクチン
(植物)
Mab GNA HHA ASA
R−型レクチン
(動植物)
Man Gal Sia Xyl RCA 120 SSA SNA

レクチンの応用

疾病と糖鎖の関与を示したのが下表です。最近、腫瘍マーカーとなる糖タンパク質や糖脂質が数多く見つかっています。これらは、ガン細胞自身が直接産生しているもの、あるいはガン細胞の影響で周辺の細胞が産生しているものであり、その量的もしくは質的な変動が診断に応用されています。例えばα−フェトプロテイン(AFP) は肝ガンに伴い大幅に増加するため、以前から量的変化が診断に利用されていますが、最近では質的な変化である「糖鎖の変化」を調べることにより、早期にガン化を発見できるようになっています。 ガンを始めとする様々な疾患において、更に新しいマーカーの発見及びそれを利用した診断法の開発が切望されており、盛んに研究されています。

糖鎖が関与する疾患 マーカーやターゲット 変化 応用
肝疾患,肝ガン α-フェトプロテイン N型糖鎖 1) フコシル化糖鎖の増加
LCA結合率増 2)
LCAで診断 3) 4) 5)
トランスフェリン N型糖鎖 Lex抗原糖鎖の増加 6)
AAL 結合率増 7)
 
γGTP N型糖鎖 分枝の増加 8)
ラクトサミン構造の増加
ガンの早期診断
コリンエステラーゼ N型糖鎖 フコースα1-3増加 9) 10) AALで診断
アルコール性肝障害 トランスフェリン N 型糖鎖 減少・消失 11) 12)  
絨毛ガン hCG N型糖鎖 分枝の変化 13) 14) 良・悪性の鑑別
直腸ガン CEA N型糖鎖 15) 16) I型減少し II型増加
高マンノース型増加
予後診断
肺ガン ラクト系糖鎖抗原
ガングリオシド
シアリルLea、Lexの増加 17)
GM2発現 18)
 
胃ガン,大腸ガン 糖脂質 19)    
膵ガン CA19-9など シアリルLeaの増加 20)  
ハプトグロビン 21) フコシル化糖鎖の増加  
腎ガン,膀胱ガン 糖脂質 CDHの増加 22)  
子宮体ガン 血液型物質 H型糖鎖の発現 UEA, PNAで詮索 23)
前立腺ガン PSA    
卵巣ガン CA125   WGAで診断 24)
甲状腺ガン チログロブリン   Con Aで診断 25)
骨髄腫 IgG N型糖鎖 ガラクトースの減少  
骨肉腫、骨粗鬆症 骨型アルカリホスファターゼ糖鎖 26) 27)    
慢性関節リウマチ IgG N型糖鎖 28) 29)
α1 -酸性糖タンパク質N型糖鎖 30)
ガラクトースの減少 31) 診断 32) 33) 34) 35)
膵炎 血清中 2-6シアリルLeaの増加 36)  
胃炎、腸炎 粘膜上皮の糖脂質    
白血病 ガングリオシド   治療法の研究 37) 38)
神経症害 ガングリオシド   治療への応用
白内障 糖脂質 Lexの増加 39)  
アルツハイマー 糖脂質 40) 糖脂質量の増減  

文献

  1. Ohno, M., Nishikawa, A., Taniguchi, N., et al., Int. J. Cancer, 51, 315 (1992)
  2. Yamashita, K., Taketa, K., et al., Cancer Res., 53, 1 (1993)
  3. Taketa, K., 臨床検査, 39, 1259 (1995)
  4. 日経産業新聞, 1997.6.10., P19
  5. Kuwabara, M., Ariyoshi, Y., 検査と技術, 27, 443 (1999)
  6.  続きを見る

本稿をご提供いただきました株式会社J-ケミカルの皆様に心より感謝申し上げます。

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