LinkOriented Kit GOLD は、金ナノ粒子に抗体やHisタグ融合タンパク質を「配向固定(ORIENTED conjugation/Immobilization)」可能な金ナノ粒子コンジュゲーションキットです。本製品には30nm もしくは40nm のキレート錯体金ナノ粒子が含まれます。
抗体やHisタグ-タンパク質の配向性をコントロール可能 LinkOriented Kit GOLD(キレート錯体金ナノ粒子)
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背景
抗体や生体分子の配向固定について
ナノ粒子表面上で、生体分子(酵素や抗体)の活性を保持しながら配向を制御することは多くの用途で重要になります。市販のバイオコンジュゲーションキットは一般的に非特異的吸着法や共有結合法を採用していますが、これらの手法では制御が難しく、生体分子の結合効率にばらつきを生じます(図1)。
図1.抗体の配向固定化
一方、理想的なバイオコンジュゲーション法は、生体分子と特異的に相互作用する「バイオインターフェース(biointerface)」をベースとして、触媒反応(酵素)や結合反応(抗体、受容体) に有利な配向性を持たせ、かつ非特異的吸着を回避するように結合させる方法です。
LinkOriented Kit GOLD は、His タグやヒスチジンリッチ領域のキレート化を介して、「配向固定(ORIENTED conjugation/Immobilization)」を実現します。
使用目的
なぜ配向化できるの?
ランダムコンジュゲーション法ではないためです。
LinkOriented Kit GOLD を用いると、抗体またはHisタグ融合タンパク質は、金ナノ粒子表面で完全に配向化されます。本製品には、抗体の配向固定のための 30nm もしくは 40nm 金ナノ粒子が含まれます。金ナノ粒子への抗体の固定は、抗体重鎖(Fc)中のヒスチジンリッチ金属結合領域、またはタンパク質に融合させた poly-Hisタグ配列の金属キレート化を介して実現されます。
金属結合部位はC末端またはN末端なため、本手法で金ナノ粒子に結合した抗体とHisタグ融合タンパク質は、抗体の抗原結合部位が金ナノ粒子と離れて配向されます。したがって、抗原抗体反応の最大化、任意のタンパク質の配向が可能になります(図2)。
図2.キレート錯体金ナノ粒子と抗体またはHisタグタンパク質の配向化スキーム
特長
構成内容
包装サイズ | 容量 | 標識可能な抗体量 |
---|---|---|
10 small tests 3 small tests |
・ 6pmol 金ナノ粒子/バイアル ・ 反応バッファー |
10μg/バイアル |
1 big tests | ・ 60pmol 金ナノ粒子/バイアル ・ 反応バッファー |
100μg/バイアル |
その他
アプリケーション用途
- ラテラルフローイムノアッセイ
- バイオセンサー設計
- 生体分子コンジュゲーション
- 顕微鏡プローブ
- 免疫金(イムノゴールド)
- 免疫センシング
■ 汎用的で高効率
IgG抗体やHisタグ融合タンパク質を高効率かつワンステップで配向固定可能です。
本製品を使用して、抗ヒトCD3マウスモノクローナル抗体および抗HRPウサギポリクローナル抗体をそれぞれ標識した。図3で示すように、いずれの抗体も高効率で金ナノ粒子上に標識された。
図3.LinkOriented Kit GOLDを用いた結合効率の検証
抗HRP抗体(左)と抗CD3抗体(右)をキレート錯体金ナノ粒子に結合させた。金ナノ粒子あたりの抗体結合量(pmol)は、インキュベーション後にゲル電気泳動で測定した。
■ 生物活性を維持
本製品を用いた生体分子コンジュゲーションは、生物的活性を維持します。
図4で示すように、LinkOriented Kit GOLD 金ナノ粒子に結合したHRP抗体はHRP結合活性が保持されている。抗HRP抗体修飾金ナノ粒子とHRPとのインキュベート後に測定した(緑)。コントロールとして、抗CD3抗体修飾金ナノ粒子とHRPとをインキュベートした場合、活性は検出されなかった(ピンク)。この結果は、金ナノ粒子が非特異的吸着反応を示さないことを示す。
図4.AuNPs-抗体コンジュゲートに結合したHRP活性の測定
左図:AuNPs-Anti-HRP(緑線)とAuNPs-Anti-Human(赤線)をHRPとインキュベートした。
右図:酵素活性に伴う色調の変化
(インキュベーション条件 1 mM ABTS as electron donor and 1 mM H2O2 as electron acceptor in 50 mM sodium phosphate buffer, pH 6.0 at 25ºC. Wavelength 414 nm.)
■ 非特異的吸着は最小限
本製品の金ナノ粒子は、非特異的結合が低減されています。
LinkOriented Kit GOLD キレート錯体金ナノ粒子の非特異的なタンパク質吸着はごくわずかです。
キレート錯体金ナノ粒子(AuNPs)とHeLa細胞の粗細胞抽出物をインキュベートしたところ、下記CBB染色SDS-PAGE結果で示すように、タンパク質のバンドは検出せず、キレート錯体金ナノ粒子の非特異的吸着への抵抗性が確認された。
図5.本製品の金ナノ粒子の非特異的タンパク質吸着の評価
(1) Protein ladder; (2)(5)(8) 0.8 mg/mL HeLa extract; (3)(6)(9) Supernatant solution and (4,7,10) chelate-modified AuNPs after incubation.
■ 強力な結合
本製品は強力な結合を可能にします。
キレート錯体金ナノ粒子と抗体は、複数のヒスチジンとのキレート効果によって、高い結合定数を示します。
■ 金ナノ粒子の活性化操作不要
前処理として金ナノ粒子の活性化の操作を必要としません。
■ 安定なコンジュゲート
本製品の使用で、超安定的なコンジュゲートを得ることができます。
■ 狭い粒径分布
LinkOriented Kit GOLD 金ナノ粒子は、安定した単分散キレート錯体金ナノ粒子の狭い粒径分布を有します。
図6.キレート錯体LinkOriented Kit GOLD 金ナノ粒子のUV-Vis吸収スペクトルおよびTEM観察像
プロトコール
- すべての試薬を室温に戻します。
- 付属の反応バッファーを使用して、抗体溶液を50 µg/ml、Hisタグ融合タンパク質を60 µg/mlの濃度に調製します。
- キットの包装サイズ(~10 or 100µg maximum amount of antibody to conjugate; ~16 or 160µg maximum amount of protein)に応じて、キレート錯体金ナノ粒子の入ったマイクロチューブに 300 µL または 3 mL の抗体またはタンパク質を加えます。
- 60分間反応させます。
反応後、未結合の抗体またはタンパク質を14,000 rcf 10 分間(4℃)の遠心で除去します。上清を慎重に除去した後、1 mLの反応バッファーで再懸濁します。遠心と再懸濁を3回繰り返します。最後、必要な濃度で粒子を再懸濁します。 - 濃度およびODは、表面プラズモン帯の~528 nmを測定し、ランベルト・ベールの法則で計算します。
LinkOriented Kit GOLD
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
---|---|---|---|---|
LinkOriented Kit GOLD 30nm (10 small tests) | NIT | 510086182 | 1 KIT [10 small tests] |
¥269,000 |
LinkOriented Kit GOLD 30nm (3 small tests) | NIT | 510086181 | 1 KIT [3 small tests] |
¥131,000 |
LinkOriented Kit GOLD 40nm | NIT | 510088181 | 1 KIT [3 Small tests] |
¥116,000 |
LinkOriented Kit GOLD 40nm | NIT | 510088182 | 1 KIT [10 small tests] |
¥225,000 |
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
---|---|---|---|---|
LinkOriented Kit GOLD 30nm (1 big test) | NIT | 510086183 | 1 KIT [1 big test] |
¥258,000 |
LinkOriented Kit GOLD 40nm | NIT | 510088183 | 1 KIT [1 Big test] |
¥249,000 |
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商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
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