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超遠心による精製は不要！ミルクエクソソームELISAキット

抗ウシミルクエクソソーム抗体をキャプチャー抗体とし、エクソソーム・マーカーのひとつである抗CD81 モノクローナル抗体を検出用抗体としたサンドイッチELISA キットです。健康な牛から採取された生乳から超遠心分離法により調製したエクソソーム画分を標準エクソソームとして、ウシミルクやウシ血清といった検体中のエクソソームを定量することができます。

背景

Exosome( エクソソーム) は、ほとんどの細胞で分泌される直径 50 nm ～ 150 nm 程度の膜小胞で、生体内では唾液、血液、尿、羊水、悪性腹水等の体液中で観察され、また培養細胞から分泌されていることも確認されています。このエクソソームは、miRNA や mRNA、タンパク質、マイクロペプチドなどを内包し、由来する細胞や組織から離れた別の標的細胞や組織へと情報を伝達する役割を担うことが示唆されている⁽¹⁾ものの、その標的指向性はまだ完全には明らかになっていません。一方で、エクソソームによる情報伝達を CD9、CD63 といったエクソソーム表面抗原特異的な抗体で中和することにより、がん転移を抑制できることがわかっています。⁽²⁾

ヒト、ウシ、ラットなどの広範な動物の乳中にもエクソソームが存在し、miRNA や mRNA、タンパク質などを内包し、標的細胞へ取り込まれることによってそれらが機能することが示唆されています。^(3）

さらに最近の研究では、前述のようなエクソソームの性質を利用して、ドラッグデリバリー担体 (DDS) としての研究もおこなわれており、とくに、生乳由来のエクソソームは、抗がん剤の経口投与手段としても注目されています。^(4）

特長

ウシミルク、ウシ血清などに含まれるエクソソームを直接定量可能
特殊な装置は不要、通常のプレートリーダーで測定可能( 波長: 450nm)
超遠心精製法により分画したウシ由来ミルクエクソソームを標準品として添付

構成内容

固相化抗体 (×100)
固相化抗体希釈液
96 well プレート
プレートシール
アッセイバッファー
洗浄液(×10)
ミルクエクソソーム原液 (450µg/mL)
ビオチン化・抗CD81 抗体 (×100)
HRP 標識アビジン (×100)
発色基質溶液
反応停止液

製品データ

図1. 標準曲線の例
2 次曲線回帰（左記グラフ）で近似曲線を作成する。

図2. ウシミルク中のエクソソームの測定例
ウシミルク間でエクソソーム含量に違いあることが分かった。

図3. ウシ血清中のエクソソームの測定例
エクソソーム濃度は成牛血清濃度が高く、超遠心でエクソソームを除去すると低くなった。これに比べ牛胎児血清はエクソソーム含量が低いことが分かった。

参考文献

Tumour exosome integrins determine organotropic metastasis, Hoshino A, et al., Nature. 2015 Nov 19; 527(7578): 329-35
Disruption of Circulating Extracellular Vesicles as a Novel Therapeutic Strategy against Cancer Metastasis, Nao Nishida-Aoki, et al., Mol Ther. 2017 Jan 4; 25(1): 181-191.
Bovine milk exosomes contain microRNA and mRNA and are taken up by human macrophages, Hirohisa Izumi, et al., J Dairy Sci. 2015 May; 98(5): 2920-33
Milk-derived exosomes for oral delivery of paclitaxel, Ashish K.Agrawal et al., Nanomedicine. 2017 Jul; 13(5): 1627-1636.