イノシトールリン酸によるシグナル伝達の解析に有用 ケージドイノシトールリン酸

イノシトールリン酸によるシグナル伝達の解析に有用な、ケージド化合物です。

膜透過型ケージドイノシトールリン酸

膜透過型のイノシトールリン酸誘導体は、生理活性のある化合物を産生するために、細胞内酵素によるいくつかの保護基（例えばアシロキシメチルエステル）の加水分解を必要とします。非常に複雑なこれらのステップのキネティクスは、非生理的な影響を導くかもしれません。生理学的なシグナルは通常、とても迅速に見られます。Ins(1,415)P33 膜透過型ケージド化合物誘導体の光分解は、迅速な細胞内応答を模倣します。開始のステップでは、細胞はケージド Ins(1,415)P33/PM 誘導体でロードします。30分から180分で、生理活性化可能な全ての保護基は除去され、ケージドイノシトールポリリン酸が産生します。ケージは、それが的確な位置にある場合、このケースでは6-ヒドロキシ基にある場合、その化合物の生理活性が起こらないようにすることが知られています。ケージの光化学的分解（〜360 nm）により、2〜3秒以内に活性型の Ins(1,4,5)P3 が放出され、それにより細胞内の受容体／ホスホリパーゼCシグナルシステムの迅速な応答の模倣が起こります。

ケージドイノシトールリン酸

膜透過型誘導体（品番： CAG-ISO-2-145）と同様のケージド基を持つ　Ins(1,4,5)P3　の光解離性誘導体（品番： CAG-6-145）です。これは、広く用いられているD-myo-イノシトール三リンの約3倍の効率で、UVにより光分解されます。

このアプローチ方法は、受容体を介したジアシルグリセロール(DAG)形成後のPKC活性化のように、他のシグナル伝達系を直接引き起こすものではないため、シグナル伝達分子の膜透過型誘導体はシグナル伝達経路の分析に役立てることができます。

HeLa細胞を2μMのケージドIns(1,4,5)P₃/PM（品番CAG-ISO-2-145）とオレゴングリーン488 BAPTA-1AMでロードした。全ての化合物は、室温で80分間ロード。5回のUV照射(300-400nm bandwith)による刺激で、記録を開始してから42秒後にシグナルが伝達された（[Ca²⁺]_iが上昇）。

ケージドイノシトールリン酸のカスケード

正式名：
D-2,3-O-Isopropylidene-6-O-(2-Nitro-4,5-Dimethoxy)benzyl-myo-Inositol 1,4,5 Trisphosphate-Hexakis(Propionoxymethyl) Este
膜透過性：○
分子量：1171.9
構造：

正式名：
6-O-(2-Nitro-4,5-Dimethoxy)benzyl)-myo-Inositol 1,4,5 Trisphosphate
膜透過性：○
分子量：-
構造：

正式名：
D-myo-Inositol 1,4,5-Trisphosphate, P4-1-(2-Nitrophenyl)ethyl Ester, Sodium Salt
膜透過性：×
分子量：635.19
構造：

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