ApoScreen™ アネキシンV アポトーシス検出キット

FITCで標識したアネキシンV により、初期のアポトーシスを検出・定量・選別します。

アポトーシスは多くの細胞内システムに起きる現象として良く知られています。胚形成での組織・器官発生や成体組織での細胞のターンオーバー制御において、キーとなる役割を果たします。

アポトーシスは、クロマチン凝集、細胞サイズの減少、DNAフラグメンテーションにより構造的に同定されます。アポトーシスに起因するこれら細胞形態変化に加えて、リン脂質二重膜の内側から細胞表面にホスファチジルセリン（PS）が転座することで起こる膜リン脂質の非対象性の欠損があります。一方で、PSの露出の機能は明らかにされていませんが、おそらく細胞膜構造が失われる前のアポトーシスを引き起こした細胞を取り込む食細胞によって認識するためのシグナルとしての機能を果たしているかもしれません。細胞表面にPSが露出することで、アポトーシスを引き起こした細胞を簡単に検出できます。

Annexin V（分子量；36 kDa）は、カルシウム依存性のリン脂質結合タンパク質のAnnexinファミリーの1種で、PSを含むリン脂質二重層に高い親和性を持ちます。PSが細胞膜表面に露出した際に、annexin Vは約7nMのアフィニティーで結合します。蛍光標識したannexin Vは細胞膜リン脂質の対象性のモニタリングにご使用いただけますので、アポトーシス細胞検出のツールとして有用です（図1）。PSの露出は、アポトーシスに関連する核の変化よりも早く起こるため、ApoScreen™ Annexin V apoptosis Kit は、DNAベースのキットよりも、アポトーシス早期の細胞の検出にご使用いただけます。また、標識されたannexin Vは、血小板や赤血球内の細胞膜の対象性の変化の解析にもご使用いただけます。

図1： アポトーシス誘導後のPSの転座の後、適切なカルシウム濃度下でAnnexin V-FITC が細胞表面に結合。

本キットは、FITC標識したannexin Vとプロピジウムヨウ化物（PI）を用いてアポトーシスを引き起こした細胞を検出する商品です。

アポトーシス初期には細胞が細胞外のPSに露出し始めるため、FITC標識したannexin Vで染色された細胞によってモニタリング可能です。アポトーシス後期では、細胞膜構造が劣化し始めるため、PIが細胞膜を透過し、DNA に結合します。このような原理を利用してネクローシス等のメカニズムによって細胞膜構造が劣化した細胞の同定にご使用いただけます。FITC標識annexin V とPIで二重染色された細胞は異なる細胞集団を示すかもしれません（図2）。

(i) 生細胞はFITC 標識annexin V またはPI ともに染色されません。
(ii)ネクローシスを引き起こした細胞は、いずれの試薬でも染色されます。
(iii)アポトーシスを引き起こした細胞は、FTIC標識 annexin Vのみで染色されます。

本キットは、励起480nmのレーザーを用いたフローサイトメーターまたは蛍光顕微鏡でご使用いただけます。

• FITC標識 annexin V または PE標識Annexin V
• プロピジウムヨウ化物
• 結合バッファー（10 ×）

図2：Two-color フローサイトメトリー
左：未処理　右：放射線処理
サンプル：Balb/c の胸腺細胞をPI とFITC 標識 annexin V で染色した。アポトーシス初期の細胞は右下に記す。
使用機器：FACScan™ Flow Cytometer　（Becton Dickinson）

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