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記事ID : 17049

エクソソームマーカーを認識するモノクローナル抗体の使用例

ユーザーレポート

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吉岡 祐亮 先生
Yusuke Yoshioka

国立がん研究センター研究所
(現 東京医科大学 医学総合研究所 分子細胞治療研究部門)

Products

  • Anti CD9 for Exosome Isolation, Human (Mouse) Unlabeled, 12A12(品番:SHI-EXO-M01)
  • Anti CD63 for Exosome Isolation, Human (Mouse) Unlabeled, 8A12(品番:SHI-EXO-M02)
  • Anti CD81 for Exosome Isolation, Human (Mouse) Unlabeled, 12C4(品番:SHI-EXO-M03)

メーカー:コスモ・バイオ株式会社

コスモ・バイオの抗体ブランド「CAC(CosmoBio Antibody Collection)」 appnote_title_use.jpg

エクソソーム単離用モノクロナール抗体 Anti CD9, CD63, CD81

本製品はエクソソームマーカーとして知られているCD9, CD63, CD81を特異的に認識する抗体で、血清、培養上清から免疫沈降法を用いて、エクソソームを単離することが出来る抗体です。

  • エクソソーム膜タンパク質CD9, CD63, CD81を高い特異性で認識
  • エクソソーム表面抗原タンパク、内在性RNA(miRNA)、タンパク質解析に有用

実験内容

1975年にジョージ・ケーラーとセーサル・ミルスタインはモノクローナル抗体作製技術を発明し、1984年にはノーベル生理学・医学賞を受賞した。ただ、単一のエピトープを認識するというだけであるが、モノクローナル抗体の存在は、現在の診断分野、抗体医薬品などの分子標的治療薬などの医薬品に革命をもたらしている。医療分野のみならず、われわれ生命科学研究者への貢献も多大である。モノクローナル抗体は特定のタンパク質の検出、細胞内の局在やタンパク質間の相互作用、アフィニティー精製など、様々な用途に使用されており、「良い」抗体を手に入れることは、研究の推進力になりうる。この場合の「良い」は、その用途や状況によって異なるが、概ね、対象となる解析アプリケーションにて単一の分子を認識し、強く結合することである。

エクソソーム研究においても、「良い抗体」を手に入れることは重要である。エクソソームは100 nm前後の大きさであり、脂質二重膜の内部や膜上には様々なタンパク質が存在している。現在、体液や培養上清からエクソソームを回収し、その存在を確認する方法として、免疫電子顕微鏡法やイムノブロッティング法によるエクソソームマーカーの検出が挙げられる。これら方法はどちらも抗体が必要となる。また、エクソソームタンパク質の定量法としてELISA法などが用いられることもあり、こちらも抗体が必要である。さらに、エクソソーム膜タンパク質に対して、抗体を用いて、免疫沈降法やカラムを用いたアフィニティー精製行い、特定のエクソソームポピュレーションのみを回収する方法にも抗体は利用されている。

このようにエクソソーム研究において、抗体の使用用途は多岐に渡るが、実際どのような抗原を認識する抗体がエクソソーム研究において重宝されるかである。エクソソームは様々な分子から成る複合体であるため、同一細胞から分泌されたエクソソームが全て同じ分子を内包しているとは限らない。しかし、エクソソームマーカーと呼ばれるタンパク質が、大部分のエクソソームに含まれるとされている。正確な割合などは分からないものの、エクソソームと呼ばれるものを回収して、エクソソームマーカーの有無を調べるとその存在が確認できる。現在は、主にCD9やCD63、CD81などのテトラスパニンがエクソソームマーカーとして用いられており(文献1)、これら抗原に対する抗体はエクソソーム研究においても、必然的に使用頻度および必要性が高くなる。

私がエクソソーム研究を始めるにあたり、エクソソーム検出系を構築するところから始めたが、この検出系においてエクソソームマーカーを認識するモノクローナル抗体を探すのに苦労した。いくつものクローンを試したものの、イマイチな結果であった。かろうじて、ウェスタンブロット法に使えるエクソソームマーカー抗体を手に入れたが、私の使用用途には合わなかった。そのような時、抗CD9抗体12A12と抗CD63抗体8A12と出会い、エクソソーム検出系が上手く行くこととなった(図1)(文献2参照)。この抗体はエクソソーム検出の際に行うウェスタンブロット法(図2)や免疫電子顕微鏡法にも利用可能であった。ヒト以外の動物種、例えばマウスCD9やマウスCD63は認識しないため、マウスの系には利用できないが、マウスへのヒトがん細胞移植系の実験などではヒトとマウスのエクソソームを区別することができるため、返って重宝する場合もある。

エクソソームマーカーに限ったことではないが、良い抗体が手に入らずに行いたい実験系が組めないことは良く耳にする。もし、ヒトエクソソームの検出などで困った場合、抗CD9抗体12A12や抗CD63抗体8A12、抗CD81抗体12C4を利用することで実験が上手く進むかもしれない。

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  1. Yoshioka Y, et al.: J Extracell Vesicles, 2: 20424, 2013
  2. Yoshioka Y, et al.: Nat Commun, 5: 3591, 2014

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