サポート情報

PureExo Exosome Isolation Kit を用いたエクソソーム回収

ユーザーレポート

PureExo_Exosome_isolation_app_01.jpg

安河内(川久保)友世 先生
Tomoyo Kawakubo-Yasukochi

福岡大学 薬学部 統合臨床医学講座 免疫・分子治療学分野

Product

メーカー:101Bio 社 メーカー略号:OBL

101 Bio, LLC appnote_title_use.jpg

PureExo® エクソソーム単離キット

細胞培養上清から完全なエクソソームを、迅速かつ効果的に回収することができます。

血清/血漿、幹細胞培養上清から回収するキットも用意がございます。

PureExo®  エクソソーム単離キット

実験内容

エクソソームは、タンパク質や様々な核酸物質(mRNA、microRNA(miRNA)など)を内包している細胞間情報伝達小胞と言える。特に、内包されている miRNA は複数の遺伝子をターゲットとしてその発現レベルを調節することから、癌などの複数の遺伝子や蛋白質の発現制御機構の破綻が生じている病態を理解する上で、無視できない研究ターゲットである。

我々は、最近、同一患者由来の転移能の異なるヒト口腔扁平上皮癌細胞株2種を用いた実験から、浸潤・転移能を規定する成分が高転移細胞株の培養上清中に存在すること、また、その転移能がエクソソームを介して非転移株に移行することを報告してきた(文献1,2)。このことは、同一癌巣内のそれぞれの癌細胞が各々の個性を持つエクソソームを分泌しており、それらを介した複雑な細胞間クロストークによって癌微小環境が規定されていることを示唆する知見であり、非常に興味深い。

さて、上記の実験を進めていく過程で、「エクソソームの回収はどうするか?」ということになった訳であるが、まずは、標準的な超遠心法でのスタートを切った。しかし、今後、同一の実験条件で多数のヒト検体を継続的に使用することを考慮に入れた場合、超遠心では時間がいくらあっても足りない。

そこで、各社から販売されているエクソソーム回収キットを検討することとなり、特に純度、操作性、効率性、再現性の面で最も好感を持った 101Bio社 PureExo Exosome Isolation Kit(品番 : P100)で実験を行うことにした(経済的な面でも、今後もっと好感を持てれば嬉しい)。

本製品を用いて回収したサンプルでは、エクソソームマーカータンパク質であるテトラスパニン(CD9、CD81)の発現が確認でき、エクソソームの存在が確認された(図1)。また、データシートに記載がある通り、回収した検体における粒度分布が(エクソソームの粒径とされる)30〜150 nm の範囲にピークを持ち、より純度の高いエクソソームが得られていることが分かった。さらに、エクソソームの回収にあたり超遠心機が不要なため、検体数が多い場合にも躊躇なく実験を開始できるようになった。なお、試行錯誤した結果、ある程度(10〜20倍)濃縮した培養上清を使用することで格段に操作性が上がることが分かったため、以後、当該 Kit 使用時は、濃縮培養上清を用いることにしている。

PureExo_Exosome_isolation_app_02.jpg
図1. PureExo Exosome Isolation Kit にて回収したエクソソームにおける CD9 および CD81 の発現レベル(イムノブロット)(文献1より)
ExoA:細胞A由来エクソソーム、ExoB:細胞B由来エクソソーム

その後の解析から、エクソソーム中の浸潤・転移規定因子が miRNA である見込みが立ったため、PureExo Exosome Isolation Kit で回収したエクソソームから total RNA を抽出後、miRNA アレイ解析を行った(投稿準備中)。その際、ボックスプロット、およびスキャタープロット(図2)において偏りのない点の分布が得られたことも、検体のクオリティの高さを証明していた。

上述のように、様々な用途(RNA解析、タンパク質解析、形態解析)において、PureExo Exosome Isolation Kitは、安定したクオリティのエクソソームを提供可能である。特に、培養条件下でのインタクトなエクソソームの機能解析には、非常に有用であるため、是非お勧めしたい。

PureExo_Exosome_isolation_app_03.jpg
図2. PureExo Exosome Isolation Kit にて回収したエクソソーム miRNA のスキャタープロット
(縦軸、横軸ともに対数目盛)
横軸:ExoA、縦軸:ExoB

参考文献

  1. Kawakubo-Yasukochi et al., J Oral Biosci 58:33-38, 2016
  2. Morioka et al., J Oral Biosci in press.