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記事ID : 35072

YesBlot™ Western Marker Iを使用したSDS-PAGE法とWB法

ユーザーレポート

熊谷 信是 様

熊谷 信是
Nobuyoshi Kumagai

学習院大学 理学部生命科学科

Products

メーカー:SMOBIO TECHNOLOGY, INC.

SMOBIO TECHNOLOGY, INC.こちらを使ってみました!

SMOBIO社 見える! タンパク質分子量マーカー YesBlot™ Western Marker I

4本の着色済みバンドと10本のバンドを含む、Ready-to-Useのタンパク質分子量マーカーです

  • SDS-PAGE中のタンパク質分離状況をモニタリング
  • メンブレン(ニトロセルロース、PVDF、ナイロン)への転写を視覚的に確認
  • 化学発光法、蛍光法、発色法などの検出システムと置換可能

実験内容

1967年にShapiroらによって、SDS(sodium dodecyl sulfate)を用いることでタンパク質を分離できることが発見された。この発見を基にして、タンパク質を分子量によって分離する方法がSDS-PAGE(SDS-PolyAcrylamide Gel Electrophoresis)であり、SDS-PAGEを行った後にタンパク質を疎水性膜に転写し、抗体を用いて特定のタンパク質を転写膜状で検出する方法をWestern Blotting(WB)という。今日では、SDS-PAGEとWBは学生実習でも行われるほどスタンダードな実験手法の一つとなっている。当研究室のプラナリアを用いた実験においても、抗体の特異性を調べたり、RNAiにより遺伝子発現を阻害した個体やX線照射によって幹細胞を特異的に除去した個体におけるタンパク質量を簡便に推定することなどに頻繁に利用しており、なくてはならない実験の1つである[1]

このように、SDS-PAGEやWBはスタンダートな手法であるため、研究室で受け継がれてきた方法や試薬を引き継いで、長年プロトコルを再検討する機会が少ない。しかし、最近では多くの会社から独自性や有効性を謳った製品が販売されている。また、筆者の場合、ターゲットとしているタンパク質は微量であるため、これまでの研究室のプロトコルでは検出が難しいという問題が浮上していた。そこで今回、試薬類や実験手法の見直しを図り、その中の一つが本稿で取り上げるSDS-PAGEとWBの両方で用いることができる分子量マーカーだった。

当研究室では当初、SDS-PAGEおよびWBには染色されていない分子量マーカーを使用していた。それぞれの実験に適した分子量マーカーを購入すればいいのだが、コスト面が気になっていたのが本音である。しかし、この染色されていない分子量マーカーを使用する場合、注目したい分画が泳動によってどの程度分離できているのかについては、染色するまで判断することが出来ず、泳動時間や条件を少しずつ変えて何度か同じ実験を繰り返すということがあった。また、生化学実験に習熟していない学生や大学院生が実験を行うと、転写など実験段階の途中に何か不具合が起きていても、最終的に検出段階まで問題に気づかないという課題も浮上していた。そのため、私たちの研究室において簡便性とわかりやすさを備えた分子量マーカーへの需要が高まってきていたのだ。

そんな折に、SMOBio社のYesBlot™ Western Marker I(以下YesBlot™)を試用する機会に恵まれた。この分子量マーカーは、タンパク質バンドがカラフルな色素によって予め染色されている、いわゆる”Pre-stained”のマーカーである。このため、SDS-PAGEの泳動中にタンパク質が分離されていく様子が一目瞭然である(図1)。またWBにおける疎水性膜への転写も、分子量にあわせた色素ごとタンパク質が疎水性膜へ転写されるため、非常に平易に転写効率を確認することが出来るようになっている。このため、当該行程における実験的なミスが非常に判断しやすくなった。それだけではない。YesBlot™は、タンパク質のマーカーバンドがIgGに結合するようにデザインされている。そのため、WBの行程中における一次抗体・二次抗体が結合することで、分子量マーカーのレーンを切り離すなどすることなく、サンプルレーンと同じ転写膜上で分子量マーカーのバンドを発色(発光)させて確認することができる(図2)。さらに価格の面に関しても同容量で当研究室での既存の分子量マーカーより、3割程度のコストカットができたのもよかった。さらに、web上でサンプル請求が出来たのも嬉しい。サンプル請求から迅速にサンプルを頂けたのでスムーズに実験に移ることができたのも、プロトコルの再検討という煩雑な作業には優しかった。上の使用時の簡便さ、わかりやすさ、コスト、利便性など複数の面でYesBlot™は当研究室において有用な製品と判断した。

SMO_yesblot_2.jpg

図.1 YesBlot™を使用したSDS-PAGEの泳動例
10%のポリアクリルアミドゲルを使用。左からそれぞれ20mAの定電流で泳動した場合の泳動時間ごとの泳動図。MはYesBlot™。M’は色素で染色されていないマーカー。黒やじるしは約70kDaの分子量のバンドを示す。

SMO_yesblot_3.jpg

図.2 WB法におけるYesBlot™の使用例
PVDFメンブレンを使用。Sample1、2、3はプラナリア幹細胞特異的なタンパク質に対する抗体を使用した。Sample1はX線未照射のもので、Sample2は照射3日後、Sample3は照射7日後のもの。

 

    参考文献

  1. Kashima et al. Dev. Growth Differ., 58; pp. 225-237(2016)

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