- 【01】 ザイモグラフィーとは何?
- 【02】 ザイモグラフィーでは、どうして酵素活性のないpro MMPがバンドとして検出できるのですか?
- 【03】 15mAの定電流で泳動した場合、どのくらいの時間がかかりますか?
- 【04】 ゲルをきれいに撮影したいときはどうすればよいですか?
- 【05】 1レーンあたりどのくらいのタンパク量をアプライしたら良いですか?
- 【06】 組織からMMPを抽出する方法は?
- 【07】 検体処理でしてはいけないことはなにですか?
- 【08】 血液の採取に使用する抗凝固剤の影響についての情報はありますか?
- 【09】 ゼラチン・カゼインザイモ電気泳動キットに含まれるプレキャストゲルのサイズは?
ゼラチンザイモ
- 【01】 プレキャストゲルのゲル濃度は?
- 【02】 pro MMP2とMMP2の間に検出されるバンドは何ですか?
- 【03】 マウスとヒトのpro MMP9の移動度は異なりますか?
- 【04】 proMMP9よりも高分子側にもバンドが検出されますが、どのようなものが考えられますか?
カゼインザイモ
ザイモグラフィーとは電気泳動で分離した酵素の酵素活性で検出する方法です。ゼラチンやカゼインなどの基質タンパクを含むゲルを使用した場合では、タンパク染色でゲル全体に青く染まりますが、酵素活性がある部分は基質タンパクが分解していることで透明なバンドとして検出されます。
pro MMPは活性部位をプロペプチド配列でマスクしているために生体内では不活性になっています。ザイモグラフィーではSDS処理によって活性部位をマスクしているプロペプチド配列を解放し、pro MMPでも酵素活性を示すようになります。
バンドを明瞭な状態で撮影するためにはゲルの下方から白色光を照射しての撮影が理想的です。
ゲル撮影装置を利用する場合、UVトランスイルミネーターと組み合わされている場合がほとんどですが、その場合でも、UVを白色光に変換する特別な板「UV-白色 コンバージョンスクリーン」(例:CSV社、品番:9120 2002 1)をUVイルミネーターの上に置くことで撮影が可能となります。
またUVと共に白色光を搭載したトランスイルミネーター、または白色光のみを搭載したトランスイルミネーターも販売されています。コスモバイオ取扱いの「品番:CSF-C/WL、CSF-B/WL 、CSF-A/WL」や、ビーエム機器取扱いの「TLW-20、TMW-20」がそれにあたります。これらと共に、画像取得には一般的なデジタルカメラを利用することで撮影を行うことができます。
試料に含まれるMMP活性は組織・細胞の種類によって異なるため、アプライするタンパク量を一概に何μgが最適ということは難しいです。 一つの方法になりますが、予備検討として10μg程度のタンパク量をアプライし、その結果を踏まえて最適な濃度を決めてください。
また培養上清を試料にしている場合は、液量を基準にしているケースが多いです。
組織ではMMPがマトリックス成分に強固に結合しているため、一般的に組織からの抽出効率が悪いと言われています。抽出方法は、10mM CaCl2と0.25% Triton X-100を含むバッファーで組織をポリトロンでホモジネートし、遠心分離で上清を回収します。その上清をサンプルとして使用してください。それ以外の組織からの抽出方法として尿素で可溶化する方法や60℃の加熱処理する方法などがあります。詳しくはWoessner Jrの論文(Methods in Enzymology Vol.248, pp510-529)に記載されていますのでご覧ください。
Gerlachらの論文(Analytical Biochemistry Vol.344, pp147-149)で血清と3種類の抗凝固剤(クエン酸、ヘパリン、EDTA)を使用した血漿の比較検討した報告があります。詳しくは論文をご覧ください。
ゼラチンザイモ
intermediate MMP2です。MMP2は、pro MMP2からプロペプチド部分が切断することで活性化しますが、Intermediate MMP2はその過程で出現する中間体になります。
MMP9はN型およびO型糖鎖が存在し、動物種によって結合する糖鎖のサイズが異なります。そのためヒト由来と比べてマウス由来の方が高分子側に検出されます。
MMP9の2量体や他のタンパク(TIMP、lipocalin、α2-macroglobulinなど)とMMPとの複合体が考えられます。