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記事ID : 11208

Axis-Shield社 OptiPrep™ アプリケーション

リコンビナントアデノ随伴ウイルス(rAAV)、パルボウイルスの精製プロトコール


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・OptiPrepは、イオジキサノールの60%(w/v)水溶液(密度=1.32g/mL)です。

・この技術情報では、rAAVを精製するための2種類の方法をご紹介します。Zolotukhinら1が用いた非連続グラジエント法(Section 2)とHermensら2が用いた連続グラジエント法(Section 3)です。Zolotukhinらは、パルボウイルスの精製にもこの方法を使用しています3

・本技術情報に関連するAxis-Shield社のミニレビューとして下記3件があります。
1. (MV01) “Use of OptiPrep™ for the isolation of rAAV in CNS transduction studies”
2. (MV02) “Viral vectors for cell transduction in cancer studies”
3. (MV03) “Complete rAAV reference list”

・その他ウイルスに関するアプリケーションについては、下記URLをご参照ください。
http://www.axis-shield-density-gradient-media.com/virusindexes.htm

1. 背景

遺伝子治療において有用な可能性のあるウイルスベクターは、ウイルス粒子にほとんどダメージを与えず、且効果的な方法で単離することで、明らかに効果が上がります。密度勾配遠心は、ウイルス粒子の濃縮と精製にとって重要な課程ですが、最もよく使用されてきたグラジエント媒体であるショ糖及びCsClは、いくつかの問題を引き起こします。これらの媒体は両方とも、ウイルスを単離するのに使用する濃度では高浸透圧性です(ショ糖溶液は非常に粘性も高くなります)。また、一般的に次の操作又は分析の工程に移る前に、ウイルス沈降又は透析のいずれかの方法で媒体を除去しなければなりません。CsClはまた、回収率が低く、単離したrAAVの感染力が弱くなってしまいます。

CsCl溶液の水分活性が非常に低いために、CsCl媒体中のウイルスは、他の媒体(ショ糖やヨウ素化濃度勾配媒体)に比べて著しく高い密度に収束する傾向がありますが、この差の程度はウイルス間で異なります。CsCl中では多くのウイルスが約1.34g/mL濃度に存在し、イオジキサノールでの濃度範囲は一般的には1.16-1.22g/mLですが、1.14g/mLより低いものや、1.24g/mLより高いものもあり、rAAVは後者に含まれます。

OptiPrepがrAAV精製のための優れたグラジエント媒体であることは幅広く認められています。CsCl媒体と比較して以下の利点があります。
・グラジエントからのウイルス回収率は少なくとも10倍以上
・感染力価は最大で100倍
・感染力測定や追加操作を行うのに、媒体の透析除去操作は不要

2. 非連続グラジエント

Zolotukhinらの方法1を適用しました。

2a. 必要な試薬
A. OptiPrep
B. 10mM MgCl2、25mM KCl添加 10×PBS (10×PBS-MK)
(10×PBS 100mLに、MgCl2・6H2O 0.20g、KCl 0.19gを加える)
C. 1mM MgCl2、2.5mM KCl添加 PBS (PBS-MK)
D. 2M NaCl添加 PBS-MK
(10×PBS-MK 10mLに、NaCl 11.68gを加え、100mLにする)
E. イオジキサノールを54%(w/v)含むPBS-MK
(OptiPrepと10×PBS-MKを9:1で混合する)

2b. 超遠心分離機ローター条件
約39mL密封チューブを約350,000gで遠心できる角度固定ローター(例:Beckman 70Ti、Sorvall T865、Section 4のNote 1を参照)

2c. プロトコール

1. 下記のグラジエント溶液を調製します(Section 4のNote 2、3を参照)
  15%(w/v)イオジキサノール、1M NaClを含むPBS-MK(溶液Eと溶液Dと溶液Cを1.5:2.7:1.2で混合する)
  25%(w/v)イオジキサノールを含むPBS-MK(溶液Eと溶液Cを2.5:2.9で混合する)
  40%(w/v)イオジキサノールを含むPBS-MK(溶液Eと溶液Cを4.0:1.4で混合する)

2. 4000gで20分間遠心分離し、セルライセートを分離します。

3. 分離したライセート10-15mLの下層に、9mLの15%イオジキサノール、6mLの25%イオジキサノール、5mLの40%イオジキサノール、5mLの54%イオジキサノールをロードします(Section 4のNote 3を参照)。シリンジに取り付けた長い金属カニューレ(内径0.8mm)か、ぜん動ポンプのチューブを通して遠心管にロードします(Section 4のNote 4を参照)。

非連続イオジキサノールグラジエントによるrAAVの精製
図1 非連続イオジキサノールグラジエントによるrAAVの精製

 

4. 18℃、350,000gavで1時間遠心分離します。設定が可能なら加速・減速プログラムを遅くしてください(最大2000rpmまで)。もしくは、減速時に2000rpmより低くなったらブレーキをオフにしてください。

5. グラジエント全体を回収し、密度の高い部分から1-2mLずつ分画するか、シリンジを40%/54%の境界線に挿入し、40%層4mLを吸引します(Section 4のNote 5、6を参照)

3. 連続グラジエント

Hermensらの方法2.を適用し、近垂直ローターで予め連続グラジエントを作成します。凍結/解凍により培養細胞からrAAVを放出させた後、ウイルス粒子を硫酸アンモニウム沈殿法またはセルファイン硫酸塩カラムクロマトグラフィーにより濃縮します。

3a. 必要な試薬
A. OptiPrep
B. PBS

3b. 超遠心分離機ローター条件
約5mLチューブを約360,000gで遠心できる近垂直ローター(Section 4のNote 7を参照)

3c. プロトコール

1. 硫酸アンモニウム沈殿法またはクロマトグラフィーにより濃縮した後、rAAVをPBS(pH7.4)に懸濁します。

2. rAAVを含む液体2.7mLを適当なチューブに移し、その下層にOptiPrepをロードしてチューブを満たします。

3. チューブを密封した後、グラジエントマスターで80°、20rpmで12分間回転させてグラジエントを形成させます(Section 4のNote 8を参照)

4. 16℃、71,000rpm(348,000gav)で、3時間遠心します(Section 4のNote 8を参照)。

5. チューブの底から穿刺によりグラジエントを回収します。rAAVのバンドは、グラジエントの底部近くにあります(Section 4のNote 9を参照)。

 

Notes

1. 小さい容量のチューブを使用する場合は、サンプルやロードするグラジエント層の量を、チューブの容量に比例してスケールダウンしてください。ローターの遠心力が350,000gavに達しない場合は、遠心時間を長くする必要がある場合があります。

2. グラジエント層に交互にフェノールレッド(0.01μg/mL)を添加することで、層を視覚識別しやすくなります。350,000gで遠心すると、イオジキサノール自身が沈降し、グラジエントの境界線が不明瞭になることがあります。

3. rAAVがセルライセート中でタンパク質と凝集してしまうと、異質な凝集物が広い範囲の密度を示すため、単離するのに深刻な問題を引き起こします。15%イオジキサノール溶液中に1M NaClを加えることで、この凝集を防き、rAAVを40%イオジキサノール層中でシングルバンドとして単離できます。

4. このグラジエント法では使用する液量が多いため、イオジキサノール溶液をロードするのにぜん動ポンプを用いることで操作が簡単になります。非連続グラジエントの調製方法の詳細については、Application Sheet V02をご参照ください。

5. ライセート中に混入したタンパク質は25%/40%イオジキサノールの境界線に、混入したアデノウイルスの99%以上はrAAVより低い密度(<1.22g/mL)に収束します。

6. イオン交換やヘパリンアフィニティクロマトグラフィなどの追加精製は、イオジキサノールを含むフラクションから直接実施することができます。

7. 参考文献2では、NVT90が使用されています。その他の垂直又は近垂直ローターでも同程度の堆積経路長であれば適用できます。

8. rAAVの密度が高いため、グラジエントの底部の密度は、rAAVがチューブの底に達するのを防ぐのに十分に高い必要があります。グラジエントマスターで形成させたグラジエントは、底部に近づくに連れて密度勾配が鋭く増加する傾向があり、その傾向はその次の遠心でさらに強まります。

9. グラジエントの回収方法の詳細については、Application Sheet V26をご参照ください。

 

参考文献

1. Zolotukhin, S., Byrne, B.J., Mason, E., Zolotukhin, I., Potter, M., Chesnut, K., Summerford, C., Samulski, R.J. and Muzyczka, N. (1999) Recombinant adeno-associated virus purification using novel methods improves infectious titer and yield Gene Ther., 6, 973-985

2. Hermens, W.T.J.M.C., Ter Brake, O., Dijkhuizen, P.A., Sonnemans, M.A.F., Grimm, D., Kleinschmidt, J.A. and Verhaagen, J. (1999) Purification of recombinant adeno-associated virus by iodixanol gradient ultracentrifugation allows rapid and reproducible preparation of vector stocks for gene transfer in the nervous Human Gene Ther., 10, 1885-1891

3. Bloom, M.E., Best, S.M., Hayes, S.F., Wells, R.D., Wolfinbarger, J.B., McKenna, R. and Agbandje-McKenna, M. (2001) Identification of Aleutian mink disease parvovirus capsid sequences mediating antibody-dependent enhancement of infection, virus neutralization, and immune complex formation J. Virol., 75, 11116-11127

4. Lock, M., Alvira, M., Vandenberghe, L.H., Samanta, A., Toelen, J., Debyser, Z. and Wilson, J.M. (2010) Rapid, simple, and versatile manufacturing of recombinant adeno-associated viral vectors at scale Hum. Gene Ther., 21, 1259–1271

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