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技術情報

記事ID : 38690

Alomone Labs(ALO)社 ブロッキングペプチドの使用法(免疫染色)


ブロッキングペプチドとは

ブロッキングペプチドとは、一次抗体を作製する際の免疫に使用したペプチド抗原からなり、しばしば、免疫ペプチドと呼ばれています。アロモン社では以前から「ネガティブコントロール抗原」と呼んでいます。

ブロッキングペプチドは標的タンパク質のエピトープ(抗体によって認識される特異的なアミノ酸配列)に相当するため、抗体との結合を競合またはブロックするために使用することができます。よって、免疫組織化学(IHC)、免疫細胞化学(ICC)、免疫蛍光染色(IF)における抗体特異的コントロールとなります。ただし、生細胞や無傷細胞をサンプルとした用途(フローサイトメトリー、生細胞イメージング)のコントロールには適していません。

ブロッキングペプチドとは

抗体の特異性検証するためにブロッキングペプチドを使って対照実験を行います。コントロールサンプルでは、一次抗体とブロッキングペプチドをプレインキュベーションすることで、抗体の全ての結合部位にブロッキングペプチドが結合します。これにより、検出しようとしているタンパク質中のエピトープへの結合が妨げられます。 抗体+ブロッキングペプチド と、抗体のみのサンプルを比較することで、非特異的結合を判定することが可能となります。抗体+ブロッキングペプチドを使用した際に検出できなかった染色は、その抗体に特異的だということが分かります。

プロトコール

試薬・消耗品

  • 抗体希釈溶液: PBST (Phosphate buffered saline + 0.1% Tween 20) with 1% BSA
  • ブロッキングペプチド
  • 抗体
  • チューブ 2本
  • テストサンプル2枚(組織または細胞を含む2つの同一スライド)

使用方法

  1. 免疫染色のプロトコールに従って、スライド調製、固定、透過(細胞内に抗原がある場合)を行ってください。(詳しくはアロモン社のIHCプロトコールまたはICC/IFプロトコール外部リンクをご参照ください)
  2. 凍結乾燥されたブロッキングペプチドを添付書類に従って滅菌PBSまたは蒸留水(DDW)に溶解します(例えば150µg/ml)。
  3. IHCまたはICC/IFのプロトコールを最適化します。
    抗体の希釈倍率は、製品ガイドライン、もしくは過去の実験により決定します。2回の実験に必要な抗体の量を算出します(例:最適な抗体濃度が2µg/mlで、スライドごとに1mlの緩衝液を使用している場合は、2µgの抗体が必要になります)。
  4. 必要な抗体量を希釈用のバッファーで希釈し、2回の実験に必要な最終容量(この例では2ml中4µg)を調整します。
  5. 4を2本のチューブに均等に分注します。
  6. 1本目のチューブに“+ペプチド”とラベリングします。抗体に対して10倍以上のブロッキングペプチドを加えます。(例:ペプチドの濃度が150µg/mlであった場合、総ペプチド量を20µgにするため1mlのバッファー中に133µl加えます。
  7. 2本目のチューブに“抗体のみ”とラベリングし、等量のバッファー(この例では133µl)を加えます。
  8. 2本のチューブを攪拌しながら4℃でオーバーナイト、あるいは室温で30分間インキュベートします。
  9. 一次抗体として1枚目のスライドに“+ペプチド”を、2枚目のスライドに“抗体のみ”を使い、検体スライドにIHCまたはICC/IF抗体染色プロトコールを実施してください。
  10. プロトコールに従ってPBS洗浄を行い、結合していない一次抗体を除去し、二次抗体を検出用に添加し、洗浄します。
  11. プロトコールに従ってスライドをマウントしてください。
  12. 2枚のテストスライドで得られた染色パターンを観察し、比較します。 ブロックされた抗体を使用すると消失する染色は、抗体に特異的です。目に見える他の染色は、非特異的結合を表します。

ブロッキングペプチドを使用した実験データ(IHC/ICC/IF)

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図1 ブロッキングペプチド+抗TRPV4抗体
(品番:ACC-034)を用いたICC画像

Anti-TRPV4 抗体(品番:ACC-034)(緑)を用いたマウスmCCDcl1腎細胞の免疫細胞化学染色。
TRPV4ブロッキングペプチド(品番:BLP-CC034)と抗体をプレインキュベートすると、TRPV4染色は完全に消失した。(右図)
(Yue Li et al., PLoS One . 2016 May 9;11(5):e0155006.)

 

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図2 ブロッキングペプチド+抗CaV2.3抗体
(品番:ACC-006)を用いたIHC画像

抗CaV2.3(CACNA1E)抗体(品番:ACC-006)を用いたマウス副嗅球切片の免疫組織化学染色
(i): CaV2.3染色(緑色)は僧帽弁細胞で検出されます。
(ii):(i)の高倍率
(iii):抗体をCaV2.3/CACNA1E ブロッキングペプチド(品番:BLP-CC006)とプレインキュベートすると、免疫蛍光染色が認められなかった。
(Monika Gorin et al., J Neurosci . 2016 Mar 16;36(11):3127-44.)

 
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