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技術情報

記事ID : 5337

FASTKITスリム® シリーズ 操作プロトコール


検査に必要なもの

1.食品の前処理および試料溶液調製

1)粉砕機 食品サンプルを破砕・均一化するために使用。
市販のフードカッター、ミルサーでも代用可能。
2)秤 均一化した食品サンプルを2g秤量するために使用。
3)ホモジナイザー 均一化したサンプルからの抽出操作に使用。
市販のミルサーでも代用可能。カップ(ガラス製)および刃が別売りで入手可能なものを推奨。
4)遠心分離機 3,000×g、4℃での遠心分離が可能なものを推奨。
(4℃での遠心分離は脂肪の分離に有効。)
5)遠心管 50mL容量以上のものを推奨。抽出後のサンプル用と、ろ過後のサンプル用に1食品サンプルにつき2本必要。
6)ろ紙 通常のろ紙を使用。No.5A(ADVANTEC)に相当するものを推奨。
7)漏斗 ろ過操作に使用。操作手順(2.試料溶液の調製−4.ろ過)のようにろ紙のみで行うことも可能。
8)メスシリンダー、ビーカー 濃縮抽出用緩衝液を希釈するために使用。
9)マイクロピペット 検体の希釈と試料溶液の滴下に使用
(10〜1,000μL 分取可能なもの)。
10)試験管、マイクロチューブ 検体の希釈時に使用。

*1 食品サンプルの破砕・均一化と抽出には同一の器具を使用することが可能です。ただし、破砕・均一化の際と抽出操作の際には、別々なカップと刃を使用してください。

*2 粉砕機やホモジナイザー等を介して、特定原材料等が混入する場合があります。必ず食品サンプルごとにカップと刃を交換してください。また、それらの洗浄についても、4ページに示した洗浄操作例を参考にして、確実に洗浄してください。

 

2.テストストリップ操作

1)FASTKITスリム®
   テストストリップ
   希釈用緩衝液
2)マイクロピペットおよびマイクロチップ
3)タイマーもしくはストップウォッチ
4)ボルテックスミキサー(試験管ミキサー,攪拌機)
5)試験管、マイクロチューブ

操作手順

 

1.試薬の調製

1)希釈用緩衝液(黒ラベル)および濃縮抽出用緩衝液(赤ラベル)を室温に戻してください。

*1 希釈用緩衝液および濃縮抽出用緩衝液は「FASTKITスリム® シリーズ」ですべて同一組成のため、キットの種類を問わずに使用できます。

*2 濃縮抽出用緩衝液中に沈殿が認められる場合には、室温に戻し沈殿を溶解させた後、精製水にて希釈してください。

2)使用するテストストリップをアルミパウチ袋に入れたまま、室温に戻してください。

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*1 テストストリップは吸湿の影響により、正しい結果が得られないことがあるため、1時間程度室温に放置し、十分室温に戻した後、アルミ包装から取り出してください。

*2 テストストリップの試料滴下部および判定部には直接手などで触れないでください。

*3 検体の取り違えなどを防ぐために、テストストリップ上の吸収パットに検体名や検体番号を記載しておくことを推奨します。

3)濃縮抽出用緩衝液は、精製水を用いて10倍希釈してください。

 

2.試料溶液の調製

1) 食品サンプルの均一化(破砕)
食品サンプルを粉砕機により均一な状態に破砕またはペーストとします。

【使用器具例1:フードカッター(MK-K48;ナショナル)】

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【使用器具例2:ミルサー(IFM700G;iwatani)】

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*1 均一化の目的は、食品中には特定原材料等が偏って混入している可能性が高いため、食品を均一な状態にすることです。そのため、消費者庁「アレルギー物質を含む食品の検査方法について」の中では、『食品サンプルの一包装単位をすべて破砕すること』と記載されています。
例): カップラーメンでは、麺、かやく、スープをすべてまとめて均一化する。

*2 液状の食品(固形物を含まないオレンジジュースなど)や粉状の食品(小麦粉など)は均一化(破砕)の必要はありません。粘度の高い、または食品残渣の含まれる液状のサンプル(コーンスープや野菜ジュース等)については、他食品サンプルと同様に均一化(破砕)操作を行ってください。

*3 食品の種類、形態、成分に応じて、条件検討を加える必要がある場合があります。
例1): 飴などの硬い食品では、あらかじめ砕いた状態で均一化する。
例2): 粘性の高い食品(ガムなど)は均一化操作が困難な場合があります。その場合は、はさみなどでできるだけ細かく切り刻んでください。

*4 破砕後のサンプルは、再検査が必要な時のために保管しておくことを推奨します。保管方法は、食品サンプルの保存方法に従ってください。保存可能な期間については食品ごとに異なります。

2)破砕した食品サンプルからのタンパク質の抽出

 破砕した試料2gに対して、あらかじめ調製した抽出用緩衝液38mLを加え、ホモジナイザー等で30秒間ずつ3回抽出操作を繰り返します。

【使用器具例1:ミルサー(IFM700G;iwatani)】

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【使用器具例2:ミルタイプホモジナイザー(EXCEL AUTO HOMOGENIZER;日本精機)】

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*1 食品の種類、形態、成分に応じて、条件検討を加える必要がある場合があります。
例) : 粘性の高い食品や吸水もしくは吸湿性の高い食品では、抽出 操作が困難な場合があります。その場合には、抽出用緩衝液 を追加し、希釈倍率を上げて抽出操作を行ってください。

*2 溶液の調製時に使用する器具を介して、特定原材料等が混入する場合があります。よく洗浄した器具またはディスポーザブルの器具を使用してください。粉砕機やホモジナイザー等も下記に示した洗浄操作例を参考にして確実に洗浄してください。

【洗浄操作例】
1) 流水洗浄後、中性洗剤を用いてこすり洗い。
2) アルカリ洗剤に一晩浸け置き(超音波洗浄の併用を推奨)。
3) 流水洗浄により、洗剤を洗い流す。

*3 一日に処理可能な検体数は、粉砕機およびホモジナイザー等のカップと刃の数により決まります(洗浄に時間を要するため)。そのため、一日の予測検体数に応じて、カップと刃を用意する必要があります。

3)抽出液の遠心分離

2)の抽出液中の大きな不溶性成分を除去するために、3,000×g以上で4℃,20分間遠心分離します。

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*1 食品サンプル中の脂肪分により正しい結果が得られない場合があるため、4℃で遠心分離し除去する必要があります。冷却機能付ではない遠心分離機を使用する場合は、抽出液を冷蔵庫あるいは氷水中などで30分以上静置し、脂肪を分離させた後、遠心分離を行ってください。

*2 抽出液を低温下で静置し脂肪を分離させる方法を用いる場合は、卓上遠心分離機など小型の遠心分離機でも、問題はありません。ただし、上清が不足しないよう1検体につき数本のマイクロチューブを遠心分離してください。

4)ろ過

遠心分離後の上清をろ紙(例:No.5A,ADVANTEC)を用いてろ過します。

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*1 遠心上清に浮遊している細かい不溶性成分と脂肪分を除去します。低温で固形化した脂肪が溶けないうちに除去してください。脂肪が固形化していない場合は、あらかじめピペット等を用いて上清表面の脂肪層を除去してからろ過してください。

*2 ろ液は、なるべく早く試験を行ってください。

5)ろ液の希釈

ろ液を希釈用緩衝液で10倍希釈して試料溶液とします。

*1 希釈用緩衝液は「FASTKITスリム® シリーズ」ですべて同一組成のため、キットの種類を問わずに使用できます。

 

3.テストストリップの操作

1)テストストリップの準備

1.試薬の調製 2)参照

2)試料溶液の滴下

  1. 前項『2.試料溶液の調製』に従って調製した試料溶液を、ボルテックスミキサー等を用いて十分攪拌してください。
  2. マイクロピペットを用いて、試料溶液100μLをテストストリップの『試料滴下部』に滴下してください。
  3. 試料溶液の滴下と同時にタイマーもしくはストップウォッチなどを用いて時間の計測を開始してください。
  4. そのまま15分間静置してください。
  5. 15分後に次項『4.結果の判定』に従って判定してください。

*1 マイクロピペットのチップは必ずテストごとに交換してください。

*2 試料溶液の粘性が高く、試料滴下部に吸収されない、テストストリップ上を展開しないなどの現象が認められた場合には、試料溶液をさらに希釈用緩衝液にて希釈 した後、試験を行ってください。また、試料溶液の色調により判定部に着色が認められ、赤紫色のラインの確認が困難な場合にも同様の処置をしてください。

 

4.結果の判定

試料溶液を滴下し、15分間経過した後、下記の判定例に従い目視で判定してください。

【判定例】

1)陽性の場合

判定部(T:テストライン)および判定部(C:コントロールライン)共に赤紫色のラインが観察されたら陽性です。

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2)陰性の場合

判定部(T)に赤紫色のラインが観察されず、判定部(C)のみに赤紫色のラインが観察される場合は陰性(−)です。

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3)判定保留(再試験)の場合

判定部(T)および判定部(C)共に赤紫色のラインが観察されない場合、判定部(T)のみに赤紫色のラインが観察される場合は再試験してください。

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*1 試験開始後15分の結果を判定結果としてください。食品サンプル中の成分などの影響により、時間の経過とともに判定結果が変化する場合がありますが、必ず、試験開始後15分の結果を判定結果としてください。

*2 赤紫色のラインの濃淡に関わらずラインが確認された場合には陽性と判定してください。

*3 判定部(C)に認められる赤紫色のラインは試料溶液が正常に展開部を移動したことを確認するためのラインであり、判定部(T)の赤紫色のラインと比較するための指標ではありません。

*4 赤紫色のラインの濃淡と試料溶液中の特定原材料等由来のタンパク質量は必ずしも一致しません。本キットは食品サンプル中の特定原材料等由来のタンパク質の有無 を確認するためのキットです。

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