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技術情報

クロマチン免疫沈降法プロトコール

記事ID : 5163

6. 実験例

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マ ウスT細胞抗原受容体(TCR)γ鎖遺伝子座のV(D)J組換えはインターロイキン7レセプター(IL-7R)により制御されています。IL-7Rにより 活性化された転写因子のStat5がJγプロモーター領域に結合し、転写共役因子のp300やCBPをこの領域にリクルートし、転写共役因子の持つ内在性 のヒストン・アセチル基転移酵素活性によって、周辺クロマチンのヒストンのアセチル化が誘導されることをChIP法にて解析しました3)(図3a)。

マ ウスBa/F3細胞をサイトカインで刺激すると、Jγ領域にStat5とCBP/p300がすみやかに結合し、同時にヒストンのアセチル化も誘導されまし た(図3a, b)。さらに、抗Stat5抗体でクロマチン免疫沈降した後、抗CBP/p300抗体で再度免疫沈降すると(ChIP re-IP)、Jγ領域が特異的に検出されたことより、同じJγクロマチン断片にStat5とCBP/p300が結合していることを確認しました(図 3c)。

また、マウスTCRγ遺伝子座のVγ領域についても、ヒストンのアセチル化によってV(D)J組換えが制御されることを確認しています4)

 

tech_ChIP_20031216_picture3.jpg

図3.マウスTCRγ遺伝子座のヒストン・アセチル化の誘導

 

a) Ba/F3細胞をサイトカイン刺激後経時的に細胞を回収し、Stat5・転写共役因子(CBP, p300)・アセチル化ヒストンに対する抗体でクロマチン免疫沈降を行いました。これらのタンパク質のJg領域への結合をPCR法により解析しました。

b) 上記の結果をサザン法と画像解析ソフトにより定量化。

c) 抗Stat5抗体によるクロマチン免疫沈降の後(1st IP)、DTT存在下で溶出し、Stat5や転写共役因子に対する抗体で再度免疫沈降(2nd IP)(ChIP re-IP法)。

この技術情報は、生田 宏一先生1)、縣 保年先生2)よりご提供いただきました。

1) 京都大学ウイルス研究所 生体応答学研究部門 生体防御研究分野
2) 京都大学大学院医学研究科 先端領域融合医学研究機構

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