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技術情報

クロマチン免疫沈降法プロトコール

記事ID : 5166

9. メモ

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ク ロマチン免疫沈降法実験が成功するか否かは、特異的な免疫沈降ができているかどうかにつきます。そのためには、特異的な抗体を使用し、常にコントロール抗 体と比較すること、免疫沈降のポジコン、ネガコンlocusを設定すること、等が重要です。特に抗体が特異的で、かつクロマチン免疫沈降に使えるものでな ければ上手く行くはずがないので、まず文献的に使用可能である抗体か調べることはもちろん、なんらかの方法で抗体の特異性や力価を確認することをお薦めし ます。1つの方法として、免疫沈降したクロマチン分画に本当に目的の蛋白が沈降されているかWestern blotで確認する方法は有効です。またクロマチン免疫沈降法に使えるとされている市販の抗体の中にも、個々に様々な問題があることが知られています。例 えば、某U社の抗メチル化ヒストンH3K9抗体は抗体量が非常に低いとか、Abcam社の抗メチル化ヒストンH3K9抗体はメチル化ヒストンH3K27に もクロスすることなどが挙げられます。またヒストンのメチル化については、mono-, di-, tri-methyl化の特異性が問題になって来ています。このような問題は、ケースバイケースで適宜解決していかなければいけません。

ク ロマチン免疫沈降法の手技的な問題として多く経験するのは、超音波処理によるクロマチン調整のステップです。試料が比較的少量であるため(上記プロトコー ルでは200 μL)、一般的なプローブ式の超音波破砕装置では出力を上げ過ぎると泡立ってしまったり、逆に出力を抑え過ぎると発振しなかったりすることがあります。筆 者がこれまで試した中で、少量のサンプルを処理し易いという点では、TOMY精工のハンディタイプのもの(UR-20P)が使い易く、サンプルがある程度 の量であれば(400 μL以上)、BransonのSonifierが非常に効率良い結果が得られました。プロトコールの項で紹介したコスモ・バイオ社の密閉式超音波細胞破砕装置 Bioruptor UCD-200TMは、処理効率もプローブ式と遜色ない上に、6本のチューブを同時に処理できることや、水を介して超音波処理するためサンプル間のクロスコンタミネーションを気にしなくていいことなどからたいへん便利です。

一 方、クロマチン免疫沈降法のデータの解析や解釈の上で常に問題になるのは、PCRの定量性です。10倍以上の差を示す場合はアガロースゲルのEtBr染色 像でいい場合もあるが、その場合でも画像を取り込み、解析ソフトでPCR産物を定量することをお薦めします。(定量してみると、EtBr染色像がいかに バックグラウンドが高く、シグナルが低いか、すなわちS/N比が低いかが実感できるし、希釈系列の中で、ある程度びしっと出たバンドは既に飽和しているこ とが理解できます。)さらに数倍の差を示すためには、どうしてもサザンブロット等で検出感度や定量性を上げてやる必要があります。この点では、最近かなり 一般的になって来たSYBR greenを用いたreal-time PCRを利用することも有効でしょう。

この技術情報は、生田 宏一先生1)、縣 保年先生2)よりご提供いただきました。

1) 京都大学ウイルス研究所 生体応答学研究部門 生体防御研究分野
2) 京都大学大学院医学研究科 先端領域融合医学研究機構

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